第5話 仕事

 その若手君は実家の仕事を手伝いながら、深夜のアルバイトも始めたというのだ。

ふと私は、家業が傾いてるということかもしれないという事実に突き当たった。


 その若手君は朝から市場に行き親御さんを手伝う。そして昼間少し寝て広場に顔を出してから深夜のアルバイトに行く。

もちろんネイルなんてしている時間はない。

そんな日々が続いていた。


 若手君は言うのだ。あっけらかんと明るく。

「深夜のアルバイトいいぞー!人はこないから暇だし時給は高いしよう!最高だぜっ!!」

しれっと話す若手は元気一杯だ。だが何となく違和感は覚えた。


 ある日のことだった。

親御さんが事業を畳むことにしたのだ。

若手君はまたあっけらかんと話す。

「潰れちゃったんだよねー!!どうすっかなー?!深夜のバイト増やそっと。」

あまりにしれっと話すものだから、私も含め周りも気が付かなかったのかもしれない。


 

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