第28話 潜入捜査の果て「クルージング」

 1980年の映画です、本エッセイは基本、70年代までの作品を取り上げておりますが、原作小説は70年発表らしいので、例外ということで。

「クルージング」とは、ゲイが相手を求めて徘徊することだそうで、当時、初めて知った言葉です。


 舞台はニューヨーク。ゲイの連続殺人事件が起こる、そこでゲイに扮して潜入捜査に入る若き警官が主人公です。

 演じたのはアル・パチーノ、当時はまだ若くてかわいかったんですよ。

 特に、上司に呼ばれて、ぽわんとした顔で部屋に入ってくる姿が、なんとも言えません。そこで潜入捜査を命じられるのです。

 彼、スティーヴは、ハードゲイに化けるんです。

 レイザーラモンHGみたいな、と言えばピンとくるのか、かえって混乱しちゃうかな、若い方は。

 黒レザーに鎖、士官風の帽子をかぶって、体を鍛えて、その手の店に繰り出す。


 ゲイを装い、聞き込みなどしていくのですが、進展はない。そのうちにスティーヴは、だんだんハマっていくというかなんというか、危ない方向へ。そんな中、新たな殺人事件が。ラストはどうにもこうにも曖昧な感じです。

 評価は低かったようですが、何せこんな映画、当時はめったにないので大歓迎でした。スティーヴは本当にそっちの世界に行ってしまったのか? 事件は解決したのか、など不明なままですが、別に気にしません。


 田舎の映画館で見たのですが、終映後、若い男性二人組の困惑の声が耳に入りました。

 内容を全く知らずに見に来ちゃったらしいんですね。まんかよくわかんなかったよね、みたいな、僕たちそっちじゃありませんから、と言い訳しているような、内容に気づいて困っただろうなあ、ふふふ。

 彼らの反応を見られたことが、一番の収穫だったかもしれません。

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