第20話 よどんだ血の家「ひいなの埋葬」

 山岸涼子の傑作ミステリー、ホラー。コミックスは1976年に出ていて、その頃読んだ覚えがあります。

 以下はあらすじというか導入部分。


 16歳のJK弥生は、遠い親戚・梨本家の雛祭りに招待される。屋敷には、弥生と同い年の静音とその祖母が住んでいた。静音には影尾という主治医がいた。

 夜、トイレに起きた弥生は、広い屋敷に迷って大きな段飾りの雛人形を見つける。

 そこに現れたのは静音と瓜ふたつの少年シズオ。夜だけ現れるシズオと、弥生は親しくなっていく。


 といった感じです。

 読んだ当時は、あまり感じなかったのですが、祖母の身勝手さが常軌を逸しています。家を守るためには何でもする。

 病弱な孫に世継ぎをつくらせようと、丈夫そうな弥生を連れてくる。もうお判りでしょう、静香はシズオという男子なのです。しかも影尾は、シズオの婚約者。なんでそんなことができるのか、シズオは戸籍上、女なのか、は失念しましたが、異様な関係です。

 真実を知った弥生が驚き、尋ねます。

「あなたはそれでいいのですか?」

 薄く笑いながら「はい」と応える影尾。そう、彼はシズオを愛しているのです、冷たくされても。


 こんな家は終わらせなければ、と、シズオは屋敷に火を放ち、弥生以外は炎の中に消えていきます、雛人形と共に。五人囃子の笛太鼓が流れるラスト、背中に戦慄が走りました。

 だいぶ前にテレビドラマ化されたそうです。シズオ役はピーター(池畑慎之介)だったと聞いて納得です。

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