第18話 手塚治虫の異色作「MW」

 手塚治虫先生には、幼少の頃「鉄腕アトム」「リボンの騎士」等でお世話になりました、夢中で読みました。「火の鳥」は日本漫画史上、最高傑作だと信じていますし。が、青年コミック誌での作品はほとんど触れておらず、そんな中、出会ったのが「MW《ムウ》」です。1976年から一年半ほど「ビッグコミック」で連載。


 たまたま友人宅で目にした「ビッグコミック」に決定的場面が載っていたのです。

 洞窟で、「おまえ、かわいいな」と若い男が半ズボンの男の子を抱きしめて押し倒す。ここで「次号に続く」、あああ。

 どうして私は、こういう決定的な場面に出会ってしまうのか。腐センサーがはたらいた? 

 手塚先生が、こんなのを描いていたというショックと感激。次号ゼッタイ買うぞ、と思ったものの果たせず、結果も知りませんでしたが、Wikiには「強引に犯す」とありました、ギャー。

 そう、「MW]は同性愛と猟奇殺人を描く、手塚作品としては異彩を放つものなのです。

 年上の「不良少年」が賀来巌。「ガリラヤの聖ペトロ」にちなんだ名だとか。半ズボンの子は美知夫。

 その後も二人の関係は続き、牧師になった巌の元に、猟奇殺人を続ける美知夫が懺悔に訪れる。

 ラストは、これも偶然、読んだのですが、悲劇的なものだったような。


 2009年に映画化されましたが、二人の関係は曖昧な描き方です。巌は山田孝之、美知夫は玉木宏。同年齢の設定かな。山田孝之の牧師姿、けっこう似合ってました。美知夫の手に触れる親指の動きが、彼への愛しさが伝わってきて、うまいなあと感心しました。

 撮影前、主演の二人は同性愛的場面の撮影に同意していたのに、スポンサーからNGが出てしまったそうです、残念。

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