第16話 世紀の美少年@「ベニスに死す」

 超有名ですよね。今更言及するまでもないのですが、やはりヴィスコンティ作品の中では、これが一番BLぽいので。なんといっても老作曲家・アッシェンバッハを魅了する美少年。ビョルン・アンドレセンの美しさは圧倒的でした。1971年公開、やはり田舎じゃ上映されず、大学生になってから鑑賞です。

 ダジオという美少年の登場シーン。新聞を読んでいたアッシェンバッハは特に気に留める様子もなく、ややあって再度、そっと新聞の上から彼に視線を。にやにやしちゃいました。

 コレラがはやり始め、早くベニスを離れればいいのに、ダジオ恋しさにそうできない。

 ただただ遠くから見ているだけ。究極の片思いで。それこそが最高の恋なのかもしれません。本当に恋だったのかも疑問ですが。


 音楽も有名ですよね、マーラーの交響曲五番・第四楽章「アダージェット」。すっかり人気曲になり、いまいちなオケでも、この曲を演奏会にかけるとチケット完売となります。

 映画では冒頭、暗く淀んだベニスの水面にアダージェットが流れますが、ベニスに行った時、駅から船に乗ったとたん、頭の中にこの音楽が渦巻いたものです。

 ヴィスコンティ作品としては、他にもっと好きなのがありますが、やはり名作であることは確かでしょう。


 ここから先は極私的な思い出話です。

 高校時代。同じクラスにチヒロくんという子がいました。なんとなくほんわかした、愛されキャラ。小柄、細身で長髪、ずり落ちそうな黒縁メガネ。

 その彼が何かの拍子に眼鏡をはずしまして、それを見た私はのけぞりそうになって驚きました。ビョルン・アンドレセンそっくりだったのです。BLやラブコメによくありますよね、メガネとったら超絶美形。

 いやー、ええもん見せてもらいましたわ。チヒロくんの素顔を見たのは一度きりでしたが、鼻筋も通ってるし、メガネ姿も以後、うれしく鑑賞しちゃいました。学生服じゃなくセーラー服を見たかったです、似合っただろうなあ。

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