第15話 翻弄された一家「テオレマ」

 パソリ―二監督の作品。1968年製作、公開とのことで、私は中学生の時に見ています。珍しく田舎でも公開されたので。

「テオレマ」とはイタリア語で「定理」という意味だそうです。冷たい美貌のテレンス・スタンプが主演、セリフは皆無でしたが。

 ミラノの裕福な家庭。ある日、謎の青年がやってきて滞在します。誰なのか、何のためにやってきたのか、何故、受け入れてしまうのか、全く説明はありません。

 中年の夫婦と十代後半と思しき娘と息子、地味な家政婦。青年は、彼ら全員と関係するのです。

 夫とは暗示的というか、夫が青年の肩に足を乗せ上げるのだったかな、その程度です。息子は、青年が寝ているところに忍び入り、そろそろと布団をめくっていく。全裸で寝ている彼の腰まであらわになったところで、青年が眼を開ける。

「ごめんなさい、ごめんなさい」

 狼狽する息子の肩に優しく手をかける青年。

 翌朝、姉が彼の部屋をのぞくと、二人は枕を並べて寝ている。といった描写です。

 一家全員と交わったのち、青年は突然、去っていきます。残された彼らには異変が。夫は全裸で沙漠を彷徨、妻は街で手当たり次第に男を漁り、娘は体が硬直、息子は不可解な絵を描き、それに放尿。家政婦に至っては空中浮遊をし、その後、土に埋めてもらうのです。

「サテリコン」以上に、なんじゃこりゃ、の世界です。


 パゾリーニはケゲイだったんですかね、それっぽいエピソードは他の作品にも出てきますが、ブサメンが好みだったとかで、かわいい男子が出てきた覚えは皆無です。

 1975年、彼は暴行された上、車に微かれ亡くなります。遺作である「ソドムの市」に出演した少年に殺害された、ということになっていますが、真相は謎のままです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る