第12話 「禁色」ってどんな色?
三島作品はたいして読んでませんが、最大の収穫は「禁色」と断言できます。高校一年の春でした。結構な長さですが、土曜の午後から読みだして、翌日の午前一時までかかって読破。面白すぎてやめられなかったのです。
「禁色」とは朝廷で身分の高い者にだけ許された色、のことなのだけど。本作が描くのは間違いなく「男色」。
【男色の秘密社会を描いた野心作。同性愛が、社会秩序に対するプロテストと見られた】
と解説にありますが、うーん、抗議? 当時はそうだったのでしょうか。私はただ、三島がこんなの書いてた、すごーい! と興奮しながら読んでました。雑誌連載開始は1951年、70年も前です、改めて知ってびっくり。
美青年の南悠一は、自分が同性愛者であると自覚、人の紹介で
初体験を済ませます。相手の青年は、また会ってほしいと告げるけど、悠一の答えは曖昧なもの。青年は「悠ちゃんの初めての相手だっていうだけでいいや」と悲しくあきらめる。
刺さったのは、この場面でしたね。
カモフラージュのため結婚する悠一。
妻に内緒で男色社会を渡り歩く。
そのことが妻にバレそうになるが、なんとか乗り切る。
といったあらすじは、ほとんど忘れていましたが、この頃としては画期的な作品であったことは確かです。
三島がもしノーベル文学賞を取れていたら。自決しなかったのではないか、という説があります。
当時、海外から評価されていたのは三島と川端康成。日本側は年功序列で川端を推したらしいです。そして日本人初の受賞。
彼は三島と親交があり、自決の際に駆けつけたものの、遺体との対面は果たせなかったと聞いております。
三島が逝って一年半、川端も自死を遂げました。
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