第7話 これぞ耽美!「枯葉の寝床」

 森茉莉といえば、文豪・森鴎外の娘、中学の教科書に載ったエッセイ「父の帽子」で存在をを知りました。由緒正しきご令嬢が、まさか、美少年に狂わされる美丈夫(フランス人とのハーフ)の物語を書いていたとは。

 発表は1962年、ざっと60年前とは信じられない。いつ、本作の存在を知ったのか覚えていないけど、高校生の私は、駅前の書店にこの本を発見し、喜びに打ち震えました。「とりかへばや物語」は古典であり、高校の図書室で発見できたけど、「枯葉の寝床」は当然、ありませんでした。


 美少年レオンは、年上の愛人を「ギ」と呼ぶ。「ギが悪いんだ」などと口にし、顔がきれいな他は大したことなさそうなレオンにギランは溺れるばかり。レオンを狙うSっぽい男も登場し、ギランの嫉妬を掻き立てる。そしてついに!

 いやー、はまりましたねえ。つたない自作小説も、影響されまくったのを覚えてます。住む世界が違いすぎて、ただの憧れに終わったようですが。

 Amazonnのレビューは十数年前のものばかりで、「耽美」「やおい」という表現が多い。「最近の呼称として」BLも出てくるけれども。


「日曜日には僕は行かない」も、恋人らしき少女がいながら達吉という中年男に惹かれ、離れられなくなる青年のお話。

 どちらも夢のように美しく、古色蒼然とはしているものの、やはり伝説の古典として、一読の価値はあると思います。

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