第3話  「寄宿舎」はタイBLのルーツ?

「寄宿舎(当時のタイトルは「悲しみの天使」)」は日本では1970年に公開された、いかにもBLな映画です。

 舞台はフランスの全寮制の男子校。カッコイイ先輩と、可愛い後輩がひかれあいます。しかし、周囲の無理解に引き裂かれてしまう。

 もう、見たくて見たくてー!

 田舎では公開されずじたばたしましたが、かなり後になって鑑賞。正直、そんなにキュンキュンしませんでした、やはり見たいときに見たかった。


 本作は竹宮恵子、萩尾望都の両氏に多大な影響を与え、「風と木の詩」「トーマの心臓」などの、いわゆる寄宿舎ものを生み出す源泉になったようです。

「風木」の連載が始まった時、学院名を見てニヤリ。「ラコンブラート学院」ですが、「寄宿者」で先輩を演じた子の名前がフランシス・ラコンブラートなんですよ。

 タイでBLが盛り上がったのは、「風木」のヒットのおかげ、と聞きますが、本当だとすると、この映画「寄宿舎」がタイBLのルーツかも。


 この映画では印象的な場面があります。

 二人は腕に傷をつけて重ねあい、愛の誓い? しかし悲しい結末で、雑誌「スクリーン」には、「彼は女性を愛することができただろうか?」と。


 余談ですが、68年、ザ・テンプターズが歌った「純愛」を思い出します。

 恋人たちが、腕に傷をつけて傷を重ねて愛を誓いあう。男の子と女の子、なのでしょう。でも当時から違和感がありました。「血の契り」って、男同士がするもんじゃね?


「花よりきれいな君」とありますが、本当にきれいな少年って、女子の比ではないですからね。女だと思って聞くと騙されますが、女性であるという証拠は、歌詞のどこにもない。

 作詞は、昨年亡くなった、なかにし礼さんです。この方なら、実は男同士の愛、なんて歌詞、平気で書きそうです。



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