天使は笑っている。

赤ん坊は泣いている。

それはそうだ。

僕は笑う。

赤ん坊は天使を嫌う。だから大泣きする。


「そろそろ満足か」


飽きたように上司が言った。


「ええ、満足です」


僕は答える。


「もう十分満足しました。お手数おかけしてすみません」


「ああ、全くだよ。赤ん坊なんて好んで見るものじゃない」


天使は赤ん坊が苦手だ。

だから僕もこれ以上は近付けない。

近くに寄りたくないから。本能的に。


赤ん坊の母親が来る足音がする。行かなければ。


「お前は僕を嫌いなままでいてくれよ」


僕の可愛い弟。

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