おやすみ
おやすみがこの世で一番好きな挨拶で、おはようがこの世で一番嫌いな挨拶だ。
慈愛に満ちた声で、その人がおやすみと言うと、起きるまでは、世界で自分ひとりだけがその人を独占できる。朝までこの人は自分のものだ。朝までこの人は自分の為だけに存在してくれる。
おやすみは、自分ひとりだけのもの。
おはようは、この世界みんなのもの。
その人のおはようは、その人が自分以外の人から好かれて、その人がみんなを好く言葉。
永遠に自分だけのものにならない言葉。
だから朝より夜が好き。
朝が来たら、何より先に夜が早く来るよう祈る。
その人の愛してるも好きも君だけも特別も嫌わないでも、どの優しい言葉もおやすみには届かない。
『おやすみ』
嗚呼、朝まで誰にも電話を掛けないで。誰も電話を掛けて来ないで。外に出ないで。すぐ隣にいて。
明日のおはようは聴きたくない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます