第5話 2日目

捜索開始2日目。


翌朝、とりあえず渋谷さんと一緒に静華の言った様に移動できるか検証してみることにした。


車に乗るなり

「あのご近所さんは、毎日朝の情報番組が終わってから10時30分から40分にお散歩する様ですよ。」

朝のゴミ捨ての時に聞いたのだと渋谷さんが教えてくれる。

コミュ力が本当に高い。


静華の家から例のスーパーまでは、およそ7キロ、車なら10分かかるところ、50分に到着している。

そして、ご近所さんは朝、静華と手を繋いだ雪華ちゃんが車に乗るのを見ている。

車を何回か静華の家からスーパーまで往復させると、おおよそ静華の言った通りの時間に到着する。


矛盾ない、なくて困る。

糖分でも摂取しようかなと、渋谷さんと静華の家の近くにあるチェーン店に入る。

入り口に、探していますの文字とともに雪華ちゃんの写真が貼ってある。


それを見てふと、注文を聞きに来たバイトの子に、

「このお店の駐車場って監視カメラあります?」と聞いてみる。

「ありますけど、どうしてですか?」そんなこと聞いてくる客は珍しいのだろうか、少し不審げに見られる。ここ数日で不審者になった気分だ。


「実はね、1ヶ月前ここで友達とお茶してたら車擦られちゃって。帰ってから気づいたんだけど、その日は色々あって、いつの間にか時間が結構たっちゃんたんだけど思い返したらやっぱりムカつくなって。修理代も結構したし。それでね、ここの駐車場ってカメラとかあったんじゃないのかなって」と聞く。

そうすると、

「あーなるほどですね。」と女の子は合点が入ったようだ。


 「たまにいますよね、そう言うお客様。でも1ヶ月前かぁ。1ヶ月前カメラ壊されちゃってたんですよね。何日くらいですか?」

 「1月19日です」

 「あーだめな日だ。18日ですもん壊れてたの。来たらカメラ壊れてて店長めちゃくちゃ怒って大変でしたよ。それで次の日、あの例の、行方不明事件も起きてこの辺も探しに来てて、なんでカメラ壊れてるんだって警察もちょっとキレて、店長もちょってキレ返して。あ、色々って行方不明のことですか?」

「そうなの、ご近所でね、探すの手伝ってたら車どころじゃなくて」


「そうなんですか、かわいそうですよね。うちもちょっと探すの手伝ったんですよ。まぁ、でもうち例のスーパーから車で5分くらい離れてますし、2歳の子が気づかれず歩ける距離じゃないよねってすぐ店再開したんですけど。あ、でその後、SNSでカメラの事呼びかけたら犯人の親が『うちの子が壊してすみません』って手紙と50万円届いたからもういっかなってなったみたいです。店長あの後SNSにはまって、自撮りとかよくわかんない景色とか投稿するんですよ、いいねしないと機嫌悪くてめんどくさい」

と言ったところで、他の店員が咳払いをしながら通り過ぎる。


その咳払いに慌てた彼女は、

「だから、えっと19日のカメラ映像はないです、すみません」と急いで言うと、厨房に戻った。


「残念でしたね、先生。でも5キロくらいありますし、どのみちきっと映ってませんでしたよ。」渋谷さんがぽんぽんと肩を叩く。

「そうですよね〜。ああもうどこにいるの」

頭を抱える。

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