section5 VS平川高校②

三田の打った打球は伸びていく!


しかしライトの大寛(だいかん)のダイビングキャッチでスリーアウトとなってしまった

「ナイスキャッチ大寛!」

平川高校のベンチは大盛り上がり、対して魚川のベンチは唖然としている


そしてその裏…


カキィン!


グラウンドに快音が鳴り響く


石原が平川打線に捕まり3点を失ったのだ

「…っ…すまない!」

石原先輩はくやしさが隠しきれない表情をしている

「いいか!四点とって逆転するぞ!」

「おおー!」


魚川では円陣が組まれ気合いを入れ直す


「?!…お前血が」


赤城が石原のタオルに血が着いているのに気がついた

実際石原の指からは血が流れていた

「大丈夫だ」

「人差し指じゃないか、これじゃ満足に投げられないだろ!」

「大丈夫だ!豆が潰れただけだ」

「ダメだ!…監督!」

「わかった…仙b…」

ある人物の言葉に監督の言葉が遮られた


「3-0っすか?平川に」



ここでまさかの須田の登場

「須田…お前」

赤城先輩が須田を睨みながら言う

「どうすんすか?逆転してくれんなら俺、投げますよ」

須田はかなり挑発的な態度であった

「…須田…遅れて来といて…お前!」

赤城先輩はとうとう怒りをあらわにした

「…赤城、落ち着け。あと5回、千場だけじゃキツい状況だ…須田、準備しろ。遅れた分は取り戻してこい。」

監督の言葉に赤城はあまり納得した様子は見せなかったがここでキャプテンが口喧嘩をするのはみっともないと思ったのだろう、赤城は何も言わず従うのだった


「はいっす」

須田はユニフォームに着替えるために部室へ向かっていった


…5回表魚川のピッチャーは2年の須田雅孝となる。

「あれ?あの人アップした?」

大聖が久甫に聞いた

「…あーまぁ体操はしたって」

「それ、大丈夫なのか?」

大聖は不安な眼差しでマウンドに向かう須田をみていた…しかしそんな不安は一瞬で消えることとなる



その初球…

ズバァァン

「…うおっ」

大聖は驚いた。さっきまでただの不良にしか見えなかった男が物凄い球を投げている…大聖だけじゃない、他の1年生も皆同様その1球に釘付けにされた

「140楽勝に超えてるんじゃ」

「…あいつはMAX149は出てるよ」


白川の言葉に1年生たちはさらに驚くことになる


「149?!」

ほぼプロ並みの速さだ

そして須田はこの回をストレートのみ、さらに三者連続三振で完璧に抑え込んでしまった

「すごいじゃないですか!」

「……」

藤村は完璧に無視された。しかし本当に圧巻のピッチング、まだ1イニングしか投げていないけど打たれる感じがしない

さらに勢いづいた魚川高校は7回ワンアウト1、2塁のチャンスで3番赤城。

(さぁさすがにそろそろ打たないとな)

初球ストレートを見逃しワンストライク

2球目はアウトコースにストレート…これは外れてカウントはワンボールワンストライク

(…さすがにボールのキレが落ちてる…これなら)


カキィン


スライダーを打つもファール

(さぁこい…お得意の…)

カキィン!

チェンジアップを左中間へ!…これはしっかり捉えた


外野からバックホーム返球が返ってくる

1人目が帰って1-3

そして2人目はかなり際どいが…

「セーフ!」

「よっしゃあ!!!」

審判のセーフのコールで魚川のベンチが盛り上がる

2-3の1点差


そしてバッターは4番の三田


カキィン!


「よし!!」

初球を打ち

3-3の同点、魚川打線はさらに加速していった

「さぁ行けっ堂前!」

五番は2年生の堂前慶次(どうまえ けいじ)。来年もクリーンナップを期待されている選手だ


(先輩がこんなに打ってるんだ…)

初球ストレートは空振りでワンストライク

2球目はスライダーの抜け球を見逃さなかった



カキィン!


(よっしゃ!)

…ドンッ


(…え?)



なんと堂前の打った打球はフェンスを超えてホームランとなった。本人もまさかそこまで飛ぶとは思っていなかったらしく驚きを隠せない様子だった

これで5-3となる


平川高校のピッチャーは2番手の浜辺がでてくる。


「よし…目河、代打だ」

「はい。」

とうとうここから1年生の出番が増え始めるようだ


「打てよ、目河!」

「……あいつは当たればデカいからな」

「キャプテン、あの2番手はどんなピッチャーですか?」

「そうだな、去年もいたがまぁ打てると思うぞ真っ直ぐもさほどでもないし」



(ドンッ)



「…いや、当たればデカいと言っていたが…」

今まではほとんど1年生だけが何度も驚くような場面ばかりだったが今回に関してはチーム全体が驚愕していた

なんと初球をホームランにして6-3となる

しかし中には慣れてる奴らもいるようで…

「まぁあいつのパワーがおかしいのは前からだろ?」

「…まぁそうだな」

「ああ!」

この3人だけは大して驚いてはいなかった

「久甫!大聖!すごいぞ高校野球」

まぁそれでも高校初打席でホームランだ。打った目河は凄く喜びを感じている



「監督!俺の登板はどうしましょう!」

「…藤村、すまんまた今度だ」

「ガーン」

藤村はベンチで膝から崩れ落ちた…相手に見られたら恥ずかしいから早く立ち上がってほしい…



「よし!天理!」


「はい!」

(よっしゃ初打席!)

大聖は意気揚々と左打席へ入る


空振り

(……)

「…力むなよー」

思いっきり高めのボール球を振ってしまった。打ち気にはやりすぎていた

(そうだ、落ち着いてよく見て…)

カキィン

外角のストレートを上手く流し逆方向にクリーンヒット

「よし、しっかりヒット打ったぜ…メイン主人公としては物足りないか?…」

「何の話だ?」

コーチャーにツッコまれた


「よーし久甫行ってこい」

「…はい」

(ドックンドックン)

パカンッ

「…なっ」

久甫の頭に突然衝撃が加わった

「意外とメンタルは弱いからな!お前!普段は冷静でいられるのに!」

「…藤村……」

犯人は藤村だった。どうやら久甫の緊張をほぐすためにやったようだ

「まぁ最初なんだから空振ってこいよ!目河のホームランなんかまぐれだぞ」

「おいまてなんつった」

「…うん…そうだな」

久甫にも少し笑みが浮かんだ


カキィン!

ストレートを思いっきり引っ張ってツーベース!

7-3!


「目河…すごいな高校野球」

ランナーから帰ってきた大聖が息を切らしながら言った

「だろ!」

「赤城さん、須田さんってバッティングはどうなんでs…」

バキィィン

突然のツーランホームラン

「…え?」

「見ての通りだ」

(なんだあの人、バッティングも化け物かよ)


さらに得点を重ねていき試合は9回…


ズバァァン

須田の8個目の三振で試合は15-3で幕を閉じた



魚川 00000 | 0933| 15

平川 00030 | 0000| 3

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る