section3 篠宮雪菜

おかしい、絶対におかしい。同一人物だよな、性格が真逆すぎる。どうなってるんだ一体…そういや名前なんだ?…あっプリントに書いてある、ちょうど配布物を頼まれていた。


『篠宮 雪菜』(しのみや ゆきな)


「ふーん篠宮っていうのか」




…後日昼休み


階段を上り立ち入り禁止ゾーンへ入っていく大聖、その先の屋上ではやはり篠宮がいた


「あのー」

「………は、はいっ?!」


今日は大人しい方か、都合のいいほうだ


「あの…なにか?」

「篠宮雪菜さん…だよね?」

「……………セツナです…」


しまった、呼び方そっちだったのか


「ご、ごめん。1つ聞きたいことがあって」

「なんでしょう…」

かなりオドオドしている…やはり昨日とはまるで別人だ

「昨日の監督への届け物渡してきたときと全然雰囲気が違うなーって…」

「?!…………」 ダッ


篠宮はさっさと走り去ってしまった

「あっ…」

どうしたんだ?もしかして触れちゃいけないことだったか?……なんかすごく気になるな。


…放課後


今日は部活がない。たくさん時間がある。よし


「大聖〜帰ろうぜ!」

藤村が廊下から元気よく飛び出してきた


「藤村、ごめん、今日ちょっと用事があって」

「そうか、珍しいな!いつも暇なのに!」

多分こいつは悪気がないんだろう。輝いた邪気のない目で言ってきた…でもなんだかなぁ…


大聖はまた屋上へ向かうことにした


「雪菜さん」

「ん?あー…雪菜(ユキナ)でお願い」

……あれ?セツナじゃないのか?どうなってんだ、ほんと。しかも今はこっちか…いや、もしかしたらこっちの方が話は聞いてくれるかも


「えーとじゃあユキナさんはさ…なんでそんなに人が変わるんだ?」


あ…しまった!いきなりこれはまずかった…絶対キレられる…もしくはひかれる!



「?!…やっぱ気づくか、そりゃそうだよね」

ユキナの顔が暗くなった気がした。


「なんだろう、自分でもよくわからない…答えになってないかもしれないけどそれしか言えない」


自分でもわからない?どういうことだ?どんどん謎が深まっていく。大聖は訳が分からなくった。

ユキナは暗い顔のまま続ける

「あたし…こんなだからさ、周りと馴染めないの」

「なぜだ?」

「多分だけどあたし、もう1つ人格があるような気がするの」

まぁ確かにそんなような気はするが。

「…それで周りと馴染めないってことか?」

大聖は少し踏み入ってみようと考えた

「そうだけど」

「周りに馴染めないというより馴染まないようにしてるように思えるけど…昼休みだってわざわざ立ち入り禁止になってる屋上にいるし」


少し怖いが勇気をだして言ってみた

「………馴染めるわけないでしょ、あたしが他の人と…もういい?あたし帰るよ」

「………最後にひとついいか?」

「なに?」

多分これ以上はあまり聞かれたくないのだろう。少し不機嫌そうだ

「名前はどっちなんだ?セツナとユキナって」

せめてそれだけは聞いておきたい

「………多分両方…じゃあね」


篠宮は行ってしまった。でもすこしわかった気がする篠宮のこと


「……二重人格ってやつか?…でも自覚してるっぽいな」


ユキナとセツナ、両方が彼女の名前。多分大人しい方がセツナで気が強いほうがユキナだ…なんかもっと知りたくなってきたな…昼休み屋上に行けばいるかな雪菜。



………

練習試合前日の朝が来た。いつも通り駅へ向かう


「明日は練習試合だな!」

藤村はいつも通り元気そうだ

まぁこいつが元気なくなったら次の日槍が降るなきっと


「…俺らは出られるのか?」

久甫はいつも通りのローテンションだ


逆にお前はいつも冷静すぎる。こいつが元気だしたら明日隕石が降るな

「ガチャガチャガチャ」

「…目河?何してるんだ」


目河は右手になにかの道具を持ってガチャガチャしている

「ハンドグリップ」

お前のその筋トレに対する姿勢はすごいよほんと…以外と頭もいいんだよな…こいつ

「天理」

聞き覚えのある声が後ろからした

「あ、赤城キャプテン、おはようございます!」

「お前ら、明日の試合監督はなるべく全員出すって言ってたから準備しとけよ」

「はい!」

全員出してくれるのか!そいつはありがたい

よし、試合に向けて集中するぞ



to be continued

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る