section2 野球部

さあやってまいりました。高校初の部活です


「どうも副主将の加藤ですー」

『加藤良規(かとう よしのり)』脱力感のある人だな。そして意外と華奢で背が高い。185cmぐらいはありそうだ

「よろしくお願いします!」

1年生の声が響く

「主将の赤城だ。今日から26名で戦っていくことになる。一丸となって頑張るぞ!」

『赤城景虎(あかぎ かげとら)』

この野球部のキャプテンで背は高いわけでもないがかなりがっしりした下半身に鍛え上げられた太い腕、さすがはキャプテンという体つきだ



さぁーて早くボールが触りたいな。

大聖はわくわくを胸に秘め練習へ望む



・・・練習後


「さてお疲れさん。俺は監督の才田だ。ちなみに早速だが4月末に練習試合を組んだ、相手は平川高校だ。」


練習後の集合で監督が言った


『才田宏明(さいだ ひろあき)』

この野球部の監督で歳は58、教師歴30年とかなりのベテランだ。みなみに休日は釣りに競馬…あと酒を飲むのも好きらしい…やっぱ見た目通りだった…




そして平川高校(ひらかわこうこう)、ここ3年の成績は確か1、2回戦敗退。恐らく勝てる相手だ。


「赤城、須田はどうした」

「今日もいつも通りです」

「そうか…」

「…監督、やっぱり俺から一言…」

「いや、いいんだほっとけ」


いや、ほっといたらダメだろ

大聖はそんなことを思うがさすがに口には出せなかった


「まぁしょうがないでしょあいつは」

「三田…」


三田冴伸(みた さえのぶ)、3年生のキャッチャーだ。眼鏡に坊主頭なので覚えやすい見た目だ、さらにこの野球部は強制的に坊主にする必要がないのでこの野球部では貴重な坊主頭である


「先輩、呼びましょうか?」

「あぁ頼む」

「こないと思うけどね」

三田先輩は呼んだところで無駄だと思ってるっぽい

「三田、お前」

赤城先輩の表情が厳しくなったところで

「やめときなー1年生の前で~」

加藤先輩が2人の喧嘩を止めるように割って入った


なにやら須田という先輩は問題児らしい

ほんと色んな人いるな、この学校


…部室


「俺、仲林昴(なかばやし あきら)よろしく」

純日本人だがイタリア人っぽい顔つきをしている。

「よろしく。俺は天理大聖」


1年生で自己紹介したあとしばらく談笑した


…駅


「いやーよさそうだよなー野球部」

「…基本的にはな」

陽平が少し怪訝そうに言った

「?、陽平、なんかあるのか?」

「須田って先輩、どんな人だと思う?」

「ああーあの人な!ヤンキーらしいぜ!」

それはそんな元気に言うことじゃないぞ藤村

「ヤンキー…か」

「なるほどなそれで今日もいなかったんだな…ん?」

「どうした?目河」

「駅前で、めっちゃ喧嘩しとるヤツおる」


おお、ヤンキーの話したらヤンキーがケンカしてやがる。

ドカッ ドゴッ ガシャーン!

ヤンキーが1人壁に叩きつけられた

初めて見たけど迫力やばいな…てか1人強くね?バッタバッタ倒していくじゃん

「凄いっすね須田さん!」


…ん?須田?須田って言ったかあの人


「……ああ帰るぞ」


あの人が須田さんか。まじでヤンキーじゃん金髪にピアスってしかも体格いいな…でも怖ぇわあの人


「あれが須田先輩か」

「なかなか悪そうな先輩だな!」


「バカ!声でかいぞ」

目河がすぐ藤村の口を封じる


「おい、睨まれたぞどうすんだよ藤村」


大聖は全てを藤村の責任にしようとするのだった…がそんな必要はなく須田さんは去っていった


「気をつけろ。タチ悪いヤンキーだったらどうするつもりだ」

「いやしかしさぁ」

「あっ」

「目河、今度は何見つけたんだ」

頼むからこれ以上心臓に悪いことはおきないでくれと大聖は心で願ったが


…あっ!免罪女!

そう心で叫んだと同時に早歩きで去ってしまった。

「おかしいな、絡まれそうなもんなんだがな。というか面白いから絡まれって欲しかった」

陽平…他人事だからって気楽だな、お前は

「俺、明日話して誤解を解いてみるよ」

「…やめとけ」

「いや、このままはダメな気がする…絶対」


そうダメだ絶対、このまま広められたら俺終わる


…後日学校昼休み


よし。免罪女と話そう。誤解を解かなければゴクッ

すんごい緊張する。何言われるか分からないけど…でも誤解を解かなきゃ。さてまず教室にはいないな。体育館にもいない。他クラスにも…いない?あれ?屋上は立ち入り禁止だし…いや、一応…


いるんかい…


そこには1人で景色を眺めている女子生徒の姿があった


「…………………」

「あ、あのさ」

「…………………」

「あの」

「へっ?!」

「あーと、しつこいかもしれないけどこの前の電車のことで…」


やっぱり雰囲気違うよ、どう考えても…人違いじゃないよね


「…知ってます。」

「ん?」

「…私、この前は熱くなっちゃって」

「そっか。誤解が解けたならよかった」

「あの…すみません。ご迷惑をおかけして」


やっぱり雰囲気違うよ。全然…てかあの時の性格からして屋上で1人でいるタイプなわけないし


「し、失礼しました」

女子生徒は俯きさっさと退散していった

「あっ…」


なんなんだほんとに


…放課後


さて部活だ部活今日もやるぞ。大聖は2日目の練習をするためグラウンドに向かっていた


「ねぇ」

「ん?」

「ちょっといい?」


…お前はさっきの…あれ?なんかさっきと別人のような雰囲気が…


「あなたさ、野球部?」

さっきの屋上の時とは違ってかなり堂々としている


「そ、そうだけど」

大聖はかなり混乱している

「ん?どうかした?」

「い、いや別に」

「才田先生にこれ届けて欲しいんだけど」

「あ、あぁ、わかった」


え?さっきの大人しそうな女子は?

なんなんだこの人本当に…




to be continued

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