絶好の機会
こうして延々とバドに攻撃を仕掛け、バドを木の幹に押し付けるように下がらせ逃げられないようにした
ぜえぜえと息を切らし、明らかに動きが鈍くなる。それをバドは見逃さず、スパッと飛び退いて距離を取り、そのまま茂みの中へと姿を消す。
「ゲ…ハァッ……!!」
「バアッ……バアッ……!!」
普通にしていれば造形だけなら美女にも見える顔は一気に二十歳くらい老け込んでしまったかのような印象を受けるほどに疲弊し、だらだらと汗をかいて髪はべっとりと肌に貼り付いた。
しかし、少しして呼吸が整ってくると、彼は手近な
一方、
淡々と。ただ淡々と。
それとは知らず、
これは、はっきり言って危険な状態だった。いかに
無茶をし過ぎたことで体調に異変が生じていたのだ。代謝のバランスが保てず、意識が朦朧となる。
何とか樹上に退避しようと試みるが、力が入らない。満足に体が動かない。
「…? ……?」
すると、木々の陰から、そんな彼を見ている者がいた。バド以外にも。
その数、十数頭。
「ルルルルルルル……」
小さく唸りつつ、そいつらは慎重に移動していた。散開し、
普段は、真っ向戦っても勝てる相手ではないものの、こうして周囲を囲もうとしているというのにそれにも気付かない。
<絶好の機会>であった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます