吠える
「ガアッッ!!」
「カアッッ!!」
相対した
なお、
そして相手は雌だった。尾部の突起の形状が違うのでそこで区別はつくし、
また、
『相手の<人間そっくりの部分>をいかに破壊するか』
が肝となるようだ。
そのため、遠目には、全裸の女性が戦っているようにも見えるだろう。
とは言え、本体は<蜘蛛に似た部分>なので、挙動は実に不自然ではある。なにしろ、互いに有利な位置を取ろうとして本体の方で調節するゆえ、
『跳び上がったり躱そうとする挙動もなく人間の位置が変わる』
のだから、それこそ、お互いに手足を相手に叩きつけながら空中を滑るように移動しているわけで。
ただし、その異様な挙動を除けば、完全に相手を破壊しようという容赦ない打撃が繰り出されているのは分かる。今回の
腕や脚が食いちぎられるなどすれば、人間の場合、止血しないと出血多量で死ぬ可能性が高いだろうし、
『傷口を木などに押し付けて止血』
というような方法は、人間の場合は痛みに耐えきれなくてできないだろうが、
それもあって、攻撃そのものに容赦がない。骨格が人間よりも頑強な上に、治癒力も高く、指などが骨折しても気にしないからだ。
そのため、<技>もへったくれもない、ひたすら手加減なく相手を殴りつけ、可能であれば腕を取りその瞬間にへし折るという、古代ギリシアで行われていた<古代パンクラチオン>もかくやという様相であった。
いや、むしろ、それなりに<技>を研究し<競技>ともなっていた<古代パンクラチオン>の方がよっぽど理性的に見えるかもしれない。
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