2 貝殻少女
何人たりとも侵入できない海の底で声がする。モクメダマ貝とバイ貝の二人が静かに深海喫茶で話している。
純白のテーブルに並んだ二つのコーヒーカップをゆるりと眺めている。
「いい雰囲気のカフェね」
モクメダマはにこりと笑いながら店内を見渡す。
「でも、コーヒーがいまいちなんだよなー」
大声でバイは言った。
「こ~ら、声が大きいよ」
バイの大声はカフェの雑踏に巻き込まれて、調理場には聞こえなかった。
「モクメはさー、最近彼氏とうまく行ってんの?」
「別れたー」
モクメダマは何の気なしにそう言った。
「えー、まじ!?真面目で浮気もしなさそうでいい人だったのに」
バイは相変わらず大声で言った。
「束縛あってめんどくさかったの」
「じゃ、今フリーなんだ」
「ううん、付き合ってる人いるよ」
「はや!さすが肉食…」
バイは掌で顔を覆った。
「バイは作んないの?」
「作んないし、できたことない」
「うそ!可愛いのに」
モクメダマは立ち上がって言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます