ホラーの書き方⑤
コメントを頂いて考えてみて、もしかしたらと思ったんである。そういう意味でまだ付き合ってくださっている方々はコメントを下さってもいいんですよ。怖くないですと言いつつ、テンションあがって圧の強い文章になるかもしれないので先に謝っておきますけれども。
何をもしかしたらと思ったのかというと、死んでなければキャラが残るからでは?
いきなり結論からだしたので分かりにくいけれど、記憶容量が残念な読者(私だ)にとって、キャラの情報を覚えているというのは意外と大変で、大変なので死んだら死んだ状況だけ残して忘れてしまうからである。
うん。みんなそうじゃないとは分かっておる。わかってるけど、さ……である。
どういうことかというと、作中で生きてると、どうしても覚えておかなきゃいけないがために怖いのが持続するのでは。
……いや、うん、違うかもなとは気づいている。気づいているけど、そういう側面もあるんじゃないかという話です。わからんけども。心理屋は実験してくれないかと言いたいけど恐怖実験で倫理審査委員会的な理由でほぼ無理である。
この死んだキャラは忘れられるが、生きてると覚えておかなきゃいけないから、なんかずっと嫌な記憶として残り続けるという特性はホラーに活かせそうな気がしなくもない。実際、あとで動かしてもいいわけだし。
N岡氏より、クリーチャー化(道具化?)したものであっても、その状態を想像してしまうので恐怖が走るのではと感想を頂いた。ありがたいと同時に許可なく出してごめんなさい。ちょっとわかる。そしてちょっとわからない。むずいです、これ。
ホラー小説というのは、平凡な日常から始まり、徐々に恐怖ポインツを稼ぎながら場合によっては途中で一旦の解決を見てさらに深度を深める。たぶん。不勉強なのでちょっと足らないかもしれないけど、私の印象ではそんな感じだ。
この解決というのが、ある意味で復活に繋がるのでは。
単純に仕切り直すのではなく、これまでの恐怖を一旦、脇に置いて――つまり恐怖がすぐそばに残った状態で何かが起きると、その閉まっといた恐怖成分が引っ張り出されて新しい部分が上に積まれるのでは。分からん。結論が視えぬ。
語弊があるのを承知で私の現実に置き換えると、葬式を含む法事の意義は故人の良い記憶を残し他は捨て去るための儀式なので、いわば忘れるためのハレの日なのではないかということである。ハレとかいうなというのは承知しています。失礼しております。あくまでホラーの話だ。必死か。いや必死だけど(ダブルミーニング)。
つまり、キャラが死んでも話が続くタイプの物語だと本の厚みが恐怖を引っ張ってくれていて、キャラが生きていれば厚みに頼らずとも恐怖を引っ張ってくれるのではないか。なにをいってるんだろう、私は。
私の作品だと十万少年(略称)は、すごい嫌な造形の怪物(これは需要があれば後に考え方を書くかもしれない)が、死にかけて転がっている。で、主人公たちは安楽死として殺していく。
物語的には自分の手で殺す恐怖を積めるのだが、もう一個の展開として死んでるのに何かの影響で蘇りつつある表現がある。自分の感性に従って書いたのだけれど、わりと本質ついてるんじゃないかという……いや、違うか? 分からん。
急に自信を失ったけれど、もう一歩、ちゃんと言語化できそうな気がする……!
そして、それはホラーを書きたい人にとって、けっこう有用なテクニックになりそうな気がする……! んああああ!
モキュメンタリーをはじめとした地続きとはまた違う恐怖なのはわかる。死なすより生かしたほうが怖いのも分かる。痛みを想像してしまうからというのも分かるけれども、もう少し違うシステムが働いている気がする……?
わからん。一旦、保留して時間を置くべきなのかもしれない。
マジでわからんけれども、分かればもう一段、先に進める気がしないでもない。
……わからん…………。
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