ホラーの書き方②

 久々のくせになんでこんないっぱい書いているのかというと、やっぱり私がB級映画好きでホラー大好きで読むし書くからである。最近モチベが落ちつつあるところに燃料を投下された的な意味では感謝するべきかもしれない。しよう。私は憎むより感謝したいタイプ。たぶん。わからんけど。


 でまあ、前回はジャンプスケアの話で終わってしまったので、本エッセイあるいは創作論ないし与太話のタイトルに則り、ホラー小説を書く上でよく分からんところについても書いていこうと思う。


 どういうわけかカクヨムさんにホラーとラブコメの人と思われている私だが、何本書いても何が怖いのか何がウケるのかマジでよくわからんのだ。


 そもそもホラーには凄まじい数のサブジャンルがあり、それぞれ怖さの主眼というか主体というか、そういうのが違うんである。私は全部好きですという唐突なカミングアウトはともかく、いくつかのジャンルの分からなさを紹介したい。



 まず、スプラッタ。血しぶきである。モンスターホラーとよく組み合わされる映画的には画面が真っ赤になったりするホラーである。血が怖い人は見てられんらしいけれど、私的にはギャグ描写になりがちだったりする。実際、首チョンパからの血がプシューとかギャグである。でも私の知り合いは顔を両手で覆ったりする。可愛い。


 実はスプラッタの難しいところはその血の表現で、ぶしゅーからのぴょろぴょろでキャラがくたばると笑いに繋がるのだが、血痕は急に重量感がでたりする。あの、床と壁と佳に残る、引きずったような血の跡です。私的な最高峰はアレクサンドル・アジャ『ハイテンション』の、扉を挟んで(以下略)です。好き。



 次にモンスターである。子供の頃の私はエイリアンにビビりたおしたのだが、横で父が『きたねえな』と呟いたときから、なんか大丈夫になってしまった。許さん。許さんこともないが。


 モンスターにはべちゃぐちょ、奇っ怪、死なない、馬鹿力、デカイ、臭い、などなど色々なタイプがあるが、私的には自然の摂理に反した形が一番ゾワゾワする。そしてこれ、小説で出しても皆さん眉間に皺を寄せるばかりで伝わらない。そりゃそうである。だって想像しにくい形を書いてるのだから。どうやればいいか分からん。



 サイコホラーというジャンルは、モンスターに部分集合な感じがある。分からんけれども。いわゆる人の悪意とか、共感性の欠如とか、そういうのがメインにくる。私が書くホラーにはたいてい、これが部分的に含まれる。なぜなら、まだ地球がピンヘッドよろしく針だらけだったころ、心理学を専門的に学んでいたからです。それがまた社会心理学だったために、ヤバイ環境が産んだ怪物みたいなシチュが好きすぎる。


 でも、このサイコホラーが実はマジで分からん。なにしろおっかない人を書かないといけないのだけど、おっかない人って記号性に乏しいから伝わらんのである。いや殺人鬼とかいるじゃんとなりそうだが、あれはややモンスター入ってるので純粋なサイコホラーではない。と思う。分からんけど。



 さあ大問題のボディホラーである。他にもSFホラーがどうとかコズミックホラーがどうとか色々あるが、あまりにも盛り上がりの足りないこのエッセイのために、私自身が一番びっくりしているホラーの話をしておる。


 まず、ボディホラーとは何か。簡単にいえば人間の体――すなわち人体をめちゃくちゃにすることです。そうして人間という存在のアイデンティティをぶっ壊すホラーなのです。アイデンティティってんなインテリゲンチャな。わかる人だけ分かれ。


 これ、私はよくやります。別に好きだと自覚したことはないんですが、普通のバトルファンタジーを書くときとか誇張表現にちょうどいいのです。正直、あばらが何本かいくのもボディホラーです。体感もしくは共感したことないとわからないと思いますけれど、まず二、三日は動けません。しんどすぎて無理です。


 もちろん、ボディホラーの真髄はそこではなくて、人間という存在の尊厳を破壊するほどの変形もしくは破壊です。正直、お恥ずかしい限りだが、死ぬほど好きなのに好きっていうのを躊躇うカクヨム作品に小村ユキチ『凍える天使』があったりするのです。人体破戒という点でとても美しいボディホラーなので読んでもらいたいけれど好きだと表明すると人格を疑われそうという――


 ホラーの問題って、ここらへんよね。


 そう。ホラー好きは自身の好きなホラーを語ると実社会で異物になってしまいかねない問題を常に抱えていたりする。


 ――いや、分からん。私だけかもしれんが少なくとも私は話していい相手かどうか年単位で時間をかけたのだ。


 なぜなら紙幅なので次があったらまた次で書く。たぶん。

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