本格をもう少し考えてみる
前回は若干おふざけが過ぎた感、あるいは悪ノリ感があったので、もう少しだけマジメに本格ファンタジーという概念について考えてみたくなったのであった。なんでと言われると、分からないことはわからないなりに考えるのが好きだからです。
そも、本格とはなんだろうか。
前回、引き合いに出したのはミステリである。ミステリにおける本格とは何じゃろかいとAIに聞いてみたくもなったのだが、ここは古典的にググってウィキペディアを覗くと、エドガー・アラン・ポーの『モルグ街の殺人』が~とくる。エドガー・アラン・ポー!? まぁよい。続くのはお決まりのメンツである。アガクリとかエラクイとか。なんとはなしに略したらギャルがミステリ語るのとか面白そうと思った。どうでもよい。
でまぁ、冗談半分というか冗談七分の一くらいで新本格ファンタジーとか言い出したのは新本格ミステリさんがあるからである。元となる『本格』概念を命名したのは甲賀三郎で、犯罪捜査のプロセスを本格探偵小説とした、とあった。それ以外は変格だと。なるほど。まったく分からん。こともないがよく分からぬ。
ともあれ、新本格の源流は、例の噂の京大ミステリ研だと。そして、ミステリ研では伝統的に犯人当てを行っていたそうな。となれば、先述の探偵による捜査プロセスを描くことを主眼にした、犯人当てミステリが新本格ということ……かな? わからん。わからんが、そういうことにして先に進む。
本格ファンタジーとは、なんぞや。
ファンタジーの源流といったらもう間違いなくベオウルフである。イギリスである。お前もミステリと同じ生まれなのか。内容は英雄が怪物とバトルして王様になるというものだ。もうひとつの原型はニーベルンゲン(シリーズ)だ。筋トレ王子ジークフリートが美少女に惚れられるも絶対ウソだと陰キャを発動、なんやかんやあって結ばれるという、もはやラノベファンタジーである。ただしなぜか後半からドロッドロの昼ドラ展開が始まる。しかも主人公だと思っていたジークフリートは死ぬ。ワーグナーの方のシリーズだと途中ハーレムめいた展開まで完備している。
……本格ファンタジーとは、脳筋主人公のヘタレハーレムなのでは。いやまて。
危うく流されるところであった。ニーベルンゲンの主人公はジークくんの嫁であるクリームヒルト女史なので、現代風にするなら『女王だけど運命の夫を殺されたので復讐のために再婚します』である。ちなみにやりすぎて最後は本人も死ぬ。まぁ筋はともかく、ファンタジーにおける本格とはなんだろうか。どちらの話にも共通するのは竜と王である。そう。
一. 竜(巨人)が出てこないのは本格ではない。
ブラックリストスタイルである。もちろん、仮のブラックリストです。あまり建設的な考え方ではないが、本格以外は変格なので良い。よいことにしておく。でもって怪物がでてくるなら武器がいる。聖剣やら魔剣やらなんでもいいというかこれは順序が逆で、竜を殺した剣だから魔剣なり聖剣なのであって、それ以前は鉄塊でも構わんのである。ただ名前はある。つまり。
二. 名前のついた武器がでてこないのは本格ではない。
ほいでもって、もうひとつ大事なのは宗教観である。主にキリスト教だ。だって怪物ってキリスト教的に破門された連中ということだから。ちなみにこれを逆転させると北欧神話になる。なぜかといえば、北欧神話はキリスト教の影響が現れるより以前に存在し、結果としてキリスト教的な意味で悪魔の話になるからです。つまり。
三. 古代のキリスト教を反映してないのは本格ではない。
だいぶ嫌な感じになってきたが、そこに加えて重大なポイントがある。キリスト教が関わるということは、
四. 現代の現実世界と地続きでかつ過去の話でなければ本格ではない。
忘れないで欲しい。これはファンタジーが云々ではなく、本格ファンタジーの話である。ついでにいうと、本格ミステリの本格と同じく、本格の方がエライとかそういう意味はまったくない。たんに、基本的な事柄に忠実であるという意味だ。否定的に聞こえたら申し訳ないが、古典的と言い換えても大意は変わらないように思う。
で、仮のブラックリストはできたので、ここからもう少し定義を緩めて本格ファンタジーについて長くなってきたから続きます。
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