省略の二

 二話も同じ話題で申し訳ない。しかも前回は自画自賛で終わる最悪パターンだが、仕方ないのである。なにしろ創作の成長って、本人はだいたい分からんので、初体験にちかくて、つい調子に乗っちゃったんである。ダメだね。


 で、省略の話に戻ると、元来、私は無駄な話が多い。


 これ小説でも同じで、考えたことをそのまま書いているというか、キーボードで考えているというほうが近いのだ。会話も同じで、よく『ひとりで納得すんな』と怒られながら生きてきた。だから、今回はマジで分からん。


 そもそも、前回の省略は上手いのだろうか。これすらもよく分からん。

 前回の省略を上手いと思ってしまったのは、私が書いている物に対して自覚的かつ何が起きているか知っているからではなかろうか。分からん。マジで。


 小説の公募はだいたい紙幅が限られていて、それに合わせて長さを調整しなくてはならない。当然、私のような話が長くなりがちな、どんな細かいことでも書いてしまう輩は、省略を使いこなせなくてはならない。


 ライトノベル作家は省略に長けている方が多く、使いこなせれば受賞が近づく……ような気がしないでもない。だもんで、レベルの高ぇ省略は使いこなしたいところである。


 たとえば、部屋に入るシーンがあるとして、まともに小説を書くと何回も部屋に入るので省略したいとなる。すると問題になるのは、描写の濃淡であろう。いや、分からんけど。とりあえず濃淡と仮定する。


 マンションがどう、エレベーターがどう、廊下の雰囲気がどう……と書き連ねておいて、突然に、


「こんちゃーす」


 居間に声をかけると……なんてやると、は? となりそうだ。分からん。ならないかもしれない。うおお、ヤバい、ガチのマジで分からない。新たな創作沼にハマりかけておる。


 私が普段やっている描写というのは、本当に必要なのだろうか。


 なんだか、かつてなくエグい分からんに気付きつつあるような。

 なんとなく分かった気になっていた描写という概念、実はまったく分かっておらんようである。


 ハリウッドライターズバイブルだったか、なんだったか、うろ覚えで申し訳ないのだが、『本を書き終えたら、まず一章を捨てます(意訳)』という言葉があったような気がする。つまり、どれだけ創作に慣れていても書き出しは文章がメロメロだし内容的にもどうでもいいことが多分に含まれているので削ってしまえということだ。


 まあ映画と小説はちょっと事情が違うので、最低限の描写を置いてから入ったほうがいいような気がする。分からん。開幕ポエム小説も多いし、なんならポエムのキマり具合で名作か分かれるような気配まである。描写なんぞまったくいらないような気もしてきた。しかも、エゲつないくらい本題からズレてきている。


 前回の分からなさを見直してみると、省略の成否は情報の距離感で分かれそうだ。


 省略というからには、そこには省かれた前提があり、その前提は読者のリテラシーに委ねられている。カタカナは分かりづらいから日本語に直すと、常識力の高さである。普通度。余計に分からんくなったぞコンチキショウ。


 考えてみれば、省略というのは読んでもつまらなそうな文章を読者のために飛ばしているわけで、たとえば読者に扉を開く描写マニアを想定した場合、決して飛ばしてはいけないのが扉を開く描写で……。


 うん。マジで分からん。お目々ぐるぐるである。頭の上には星とひよこと、あと何かが回っておる。

 いずれ。いずれまた、真剣に考えてみようと思う。

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