起伏
エログロの後にする話かと思ったりしなくもないが、気付いた順だから仕方ないのである。これでも結構な数の話を書いてきたつもりだが、今まで起伏に手応えを感じたことは一度もない。困る。めちゃ困るぞ。
起伏というのは、ストーリーのドキドキ感である。我ながらバカっぽい説明だが他に言いようがないのだ。創作論好きなら、わりとマジメな創作理論として、シンデレラ曲線なんてのを聞いたことがあるはずである。
開幕、不遇の身となった高貴な生まれの少女が統治体制の不備に因を認め、
この一連の流れを、シンデレラ曲線という。
古臭いということなかれ、いわゆる『なろう小説』もこの起伏を踏襲している。まだ流行っているのかしらないが、追放ざまあモノも同じだったりする。
開幕、事故やら追放やらで不幸になり、新たな場でリスタート……てな具合だ。シンデレラと違うのは、ハッピーな部分に力点が置かれていることだろうか。
これが分からん。前フリ長すぎか。
いや、前提がないと、分からなさが伝わらないのだ。というのも、この起伏、何が起伏となるのか判然としないのである。マジでわからん。この分からなさが、私をラブコメ不得手にしている。
私の長編作品は大概バトルが絡み、重苦しい設定が付きまとうので、起伏といったら死活問題のピンチが大半を占めるのだ。正直に告白すればラブコメで十万字を書けと言われたら『そんな、ご無体な……!』ヨヨヨである。
はるか昔『絶望の才能』というジメっとした短編を書いたが、アレである。フッたフラれた好きなアノ子は云々、そんな話題で絶望できねー! なぜだ。分からぬ。
いちおう断っておくと、そういう人が分からないという意味ではない。そういう人がいるのは重々、承知しているし、そういう人が嫌いとかって話でもない。物語として構築しようとしたときに、地の文で並べるべき絶望の言葉が思いつかんのだ。
そう。起伏というのは、地の文の雰囲気や会話文や独白でそれっぽい空気感を醸成するのだが、その際に重要なのは、大げさ感だと思うのだ。分からんけど。
しかし。
好きなアノ子は別の誰かが好きそうってだけで絶望できねえです。頭空っぽなアクション映画好き特有の、脳筋ラブコメ思想である。技術的にそのへんを克服しようと『テレるふたり』として大いなる挑戦を試みたりもしたが、案の定の一次落ちである(まあ投稿時にやった別の実験の影響が大きそうだが)。
何気ない日常に起伏をつける技術がマジで分からん。これでも勉強しようと半ば廃人状態で恋愛モノやラブコメを読み漁ったりもしたのだが、こいつら(登場人物)の頭の中どうなってんだとしか思えぬ。というか、
ラブコメ書けるとかバケモンだな!?
正直、かなり困ってたりする。というのも、ラノベは基本、中高生向けに書かれる読み物であるゆえ、色恋沙汰はマストに近いネタなのだ。別に大ネタにする必要は感じていないが、ひとつまみの恋愛要素があるに越したことはない。
ラブコメの起伏、マジでどうやって書いてるんだろうか。分からん。
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