台詞
異世界ジョークの話が出たので台詞の話をしたいのだが、これがよく分からん。
改行が小説の華だとしたら、台詞は小説の……小説の、なんだろうか。一般にキャラクター小説とも呼ばれる、ライトノベルを含むエンタメ系では、台詞が重要になるという。本当だろうか。当然や自明を疑うのが『創作のナゾ』である。
実は私は、会話文が下手である。それは台詞を書く、というか考えるのが下手なのもあるのだが、それよりも大きな問題として、異常な改行愛がある。
むかし、まだ地球が三角錐だった頃、私の書く小説は真っ黒だった。新聞記者が如く文字を詰め込むのが常態だったゆえに、四十二文字×三十四行、つごう千四百二十八文字のうち、千二百文字くらいは詰め込んでいた。文字充填率にして八十五パーセント弱。適当に打ってみれば分かるが、ほぼ真っ黒である。
そんな私にとって、最大の敵は、台詞だったのだ。
「それで?」
お前、六文字で行を変えさせる気か? ああ? となっていたのである。だもんで
「それで?」彼女は長い髪に手ぐしを通し、おれを蔑むような目で見た。「なに?」
みたいにして文字を詰め込んだのだ。今はだいぶ減らしました。だいたい一頁で千文字くらいなので、充填率は七十パーセントくらい。だいぶ黒いが、これは地の文がつづく場面で、会話シーンは五十パーセントを切るのではなかろうか。白い。短い台詞が多いのである。
長台詞はよくわからない。なにがわからないって、人は講義や説明以外で長々と喋らないからである。普通は相槌などを打ちつつ、短い会話をぶつけあう。一回の発話で、話題はだいたい、ふたつくらいだろう。
「昨日すごかったよねー。マポホイくんとか、マジで――」
みたいな感じだ。これが自然と感じる。だが、自然にしようとしすぎると、まったく話がすすまなくなる。小説は地の文でストーリーをすすめるか、会話文でストーリーをすすめる。分からん。そもそも進めずに終わる小説も知っている。困る。
まあキャラクター小説は会話ですすめるとして、何行くらいがベストなのか。私は一行から二行のセリフを四回やりとりして、五行から六行で地の文にうつる場合がお多い。会話文が連続すると誰が喋っているのか分からなくなるので、それを避けるためである。
一方で長台詞は、特定の役割か、特定のャラの特権にしている。
すなわち、説明役か、狂人である。
狂人という語に一瞬ビクっとした方もおられるかもしれない。繊細だ。
どういうことかというと、普通、会話の相手がいるとき、一方的に自分の話を語りつづけるのは頭おかしい奴だからです。昔のオタクが一般人に苦笑いされた理由のひとつだ。しらんけど。
逆に、好かれるキャラ(ないし好かれてほしいキャラ)には、相槌や質問をさせるようにしている。特に主人公は質問が多い。読者の分からんポイントを的確に質問して共感してもらおうと……また普通の創作論っぽい話になってきたからやめる。
語尾。語尾の話。
語尾でキャラを区別するのは安っぽい手だからやめましょう、というのがある。無茶を言うなと言いたくなる。分からん。得意な人はできるのかもしれん。
一本の小説でセリフをもらえる登場キャラは、大雑把に敵味方モブを含めて十人くらいだろうか。一人称で男女を分けるとして、丁寧語、普通、粗野で六パターン。口癖はキャラが濃ゆくなるのでひとり限定。いや、キツイって。
じゃあどうすんの。分からん。
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