第25話 MIX
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※お酒は二十歳になってから。
※お酒はおいしく適度に飲み方を考えて楽しみましょう。
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ミホちゃんに無理矢理飲ませたことにより、バディのハルカさんもウイスキーを飲むことに。
流石にハルカさんも、ウイスキーをストレートで飲むことには抵抗があったか。
「私はそろそろ明日も仕事なので……」
と、うまいこと避けようとしてきたが、エリナさんが無理矢理飲ませることで無事(?)飲んでもらうことができた。
もう、こんなアルコール度数の強いお酒をこれ以上飲むのはきつすぎる。やっぱりストゼロがいいわ……。
と、思った矢先。マナミさんから衝撃の発言が。
「ストゼロ全部無くなっちゃったから、ゲームに負けた人はこれから全部ウイスキーね!」
は!? 今からずっとウイスキーだと!?
周りを見渡すと、みんな嫌そうな顔をしている。
そうだよな、やっぱりみんな相当飲みたくないんだよな……。
――ワイワイパラダイスが再開。
不本意ながらみんなの体にウイスキーが注入され続け。
気づいたらボトルも数瓶空いていた。
って、どんだけ飲んでるんだよ俺たち!
パラダイスは気づいたら終盤戦に差し掛かっており、みんなの駒もゴールに近づいている。
そんななか、エリナさんの番。
サイコロを振ると、何やら他のマスとは違う金色のマスに止まった。
さすが陽キャのすごろく。色もウェイウェイしてやがる。
「あっちゃー! 出たーーー! パーティーマス止まっちゃったー!」
エリナさんは、ケラケラと笑いながら、紙コップを手元に手繰り寄せると、ウイスキーをドバドバと注ぎだした。
それも、コップ並々全部……?
え!? どんだけ注いでるんですか!? 表面張力でもはや溢れそうなんですんですけど!
「はい! じゃあ、みんなで回し飲みねー! 私が最後に飲むから、ハルカから飲んでってー!」
……回し飲み? ショットグラスは使わないの?
ってことは、今からこの1つの紙コップを、全員が回し飲みするってこと!?
ちょっと待てよ。……それ、間接キスってやつじゃないか?
いいのか? こんな美人な人たちがこぞって口を付けたものを、俺が飲んでも良いのか?
え? え? いいんですか、いんですか?
人生において女の子とまともに口を利いてこなかった俺が、紙コップ越しに口を利かせてしまってもいいんですか?
ドギマギしている俺のことなどお構いなしに、ゆらゆらしながらエリナさんはハルカさんへ「はいっ、ハルカ飲んでー!」と紙コップを差し出した。
あーあー、並々注いだから、紙コップからウイスキーポタポタこぼれてますよー!
ハルカさん、流石に飲むのを躊躇っているようだだけど……。
そんな様子を見たエリナさん、ぐいっとハルカさんの肩を抱き寄せた。
「飲んでくれたらぁー。……ご褒美、あげちゃうよ?」
エリナさんのその発言がハルカさんの火を付けたのか。
「本当ですか!? 絶対ですからね!?」
ハルカさん、半分涙目で、紙コップの半分くらいの量をぐいっと飲み込んだ。
うわー! かなり飲んだなー! 見てるこっちまで気持ち悪くなってくるわ……。
ハルカさんはミホちゃん残された紙コップを手渡すと、「あとは頼みました……」と言ってソファに寝っ転がり、目を閉じてしまった。
え!? ハルカさん、もしかして寝ちゃったんですか!?
でもまぁ、さっきからずっと眠そうにしてたし、あんな量を飲まされちゃ寝てもしょうがないよな……。
次はミホちゃんの飲む番。
手渡されると間髪入れず、すぐに紙コップに口をつけた。
え、ミホちゃん? そんなテンポで飲むお酒じゃなくない!? 大丈夫か!?
――と思ったら。
全く紙コップの中身が減ってない。
減ってないにも関わらず、隣のリオへ紙コップをすぐに渡してきた。
あれ? 全然飲んでなくない?
みなさん、この人全然飲んでないですよー? エリナさん、これで良いんですかー?
その様子を見ていたエリナさんが口を開いた。
苦言を呈するのかと思ったら。
「えー? ミホちゃん、もっと飲んでくれてもいいのにー! アーッハッハッハッハ!」
むしろ笑ってる。なんで?
あれ、待てよ?
最後にエリナさんが飲む。
ハルカさんがエリナさんに無理矢理飲まされる。
次に渡されたミホちゃんは全然飲まない――。
……分かったぞ!?
もしかして、これは全員が飲むっていう建前だけど、本当はエリナさんが一番飲まされる罰ゲームなんだ!
エリナさんは最後に順番が回ってくるから、それまでに少しでも量を減らさないといけないんだ!
なるほど。ようやく趣旨が見えてきたぞ。
ということは、今回は俺も理不尽に飲まされなくて済むな!
次は、リオの番。こいつ、赤い顔でポーっとしていて、かなり酔っている。
ミホちゃんが口だけ付けていた様子を見ていなかったのか、紙コップを手渡されると「こんな量飲めないよ―! 無理ー!」と怯えている。
……だめだこいつ、ゼッタイ頭が回ってない。
こんなの無理して飲む必要ないぞー。やめとけなー。
教えてやりたいけど、エリナさんが監視している手前、下手に動くと俺が巻き添えをくらう可能性が高いから、流石に動けない。
怯えて飲めずにいるリオ。
それを見かねたミホちゃんは、俺に聞こえるようにリオに耳打ちした。
「リオちゃん、やっぱりもう飲めないんだー? じゃあ、ずっとお兄ちゃんのこと『お兄ちゃん』って呼び続けるの、決定ね?」
おいおいミホちゃん! このタイミングでその発言はパンチ力が強すぎるだろ!
「……無理っ! それだけは、ぜったいダメー!」
リオは挑発にまんまと乗ってしまい、そそのかされるがまま、紙コップの中のウイスキーをぐいっと一気に口に含んでしまった。
そして口に含んだまま、ピタッと動きが止まっている。
――え? お前、それ全部飲むの? さすがにやばくない?
「お、おい! 大丈夫か!? 無理して飲まなくても――」
そう言いかけた瞬間。
「ううううううう、やっぱ無理ぃ……」
リオは今にも泣き出しそうな顔をして、口をぱかっと開くと。
ドュバァッと唇から滴らせてらせてウイスキーを紙コップの中に戻し。
そのまま俺に紙コップを渡してきた。
――って、こんなの飲めるかぁーーーーー!!!!!!
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