右鱗前方
自分の位置は、右の鱗の前方。ちょうど、囮の右翼が眺められる位置。
今回の命令を出してくる上官は、どうやら策に溺れるタイプらしい。鶴翼に擬装した魚鱗なんて、見破られれば簡単に両翼を切り取られる。そこからは遠距離攻撃でじわじわと削られるだけ。左右両翼の後ろに隠してある戦力も、あまり意味なくつぶれるだろう。
「さて」
どうやって、このばかな命令系統から逸脱するか。
この戦闘領域で、おそらく自分がいちばん強い。指揮もできる。ただ、それをひた隠しにしてきた。強いというのはそれだけで狙われる。いらない味方の面倒も見なければならない。できれば、自分の信頼できる味方だけで構成したかった。他のどうでもいい味方は、この際策に溺れた上官と心中してしまったほうがいい。
「よし、これでいくか」
相手がぶつかってきた段階で、張り出した右翼の援護に向かうふりをする。激戦を演出しながら離脱し、しばらく戦闘領域を眺めて資源温存。相手の陣も、中央だけが突出した斜めの陣。鶴翼に対してまともに突っ込むらしい。あちらはパワータイプのばか。こちらは策に溺れるタイプのばか。
「ばかからは離れるに限るな」
突撃が来た。こちらも早めに動いて、うまく離脱しよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます