左弦後方vs右鱗前方 (RD)

春嵐

左弦後方

 大きく斜めに反った陣。相手の鶴翼かくよく(V字型の陣形)とは真逆、凸型に近い。そして、こちらには後詰めがいない。前衛が崩されると、そのまま後背をかれて陣形としては敗北する。

 それでも、こちらの指揮者はこの陣を敷いた。おそらく、速戦。あるいは、相手の鶴翼の裏にそこそこの後詰めがいると読んだのかもしれない。

 ここまで、敵にも味方にも実力を隠してきた。この戦闘領域で、たぶん自分がいちばん強い。この強さと指揮力を、いつ活かすか。指揮者が敵に倒された一瞬の混乱を使うか、それとも最初のぶつかり合いを回避して搦め手に回るか。

 陣の端にいる。弓でいうところの左弦後方。離脱が簡単に行えて、その際味方には見えにくい場所。

 さて。どうするか。

 突撃の命令が出た。

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