下 ── ……今日も俺は生きている。
俺たちを載せた多用途装輪装甲車──関節連結トレーラー型で〝コネストーガ〟と呼ばれてる──は、〝
人工太陽灯の陽射しは翳っており、〝昼の時間〟が終わろうとしていた。
あの後、一戦闘を終えた俺たちは周辺の廃墟を
後方車両に積まれたこれらのガラクタは、〝
72時間の〝ミッション〟の期間中であれば、俺たちトループスにはこういった活動も許されていた。所謂〝戦利品〟というヤツだ。
今回はそれほど実入りが良かったとは言えないが、それでもミッションで得られたポイントと併せれば、十二分に満足できる戦果だった。
ダニーが、キャビンから抱えてきた冷えたビール缶をメンバーに放り始める。
皆が次々と受け取る中、俺は懐から
後方車両のあちこちから、フタを開ける小気味良い音が聞こえてきた。
「よう…──」
「な~に読んでんだよ?」
訊かれたので俺は手元の本のタイトルを見せてやった。途端にツリ目の
「何でぇ、文字ばっかで画がねえじゃねぇか……」
とつまらなそうに言って、ポイと放って返してきた。空中でそれを受け取った俺は、苦笑して訊き返す。
「どんな画がありゃ良かったんだい?」
リオンはニッと嗤って言った。
「……おんなの裸」
それであとはもう興味が無くなった、とばかりに他のメンバーの方へと移動していった。まったく……。こういう感じの〝判りやすい〟ヤツだ。
パーティーでは対物ライフルを抱えて〝後衛〟に就く。いわゆる狙撃手だ。
思い切りがあり腕もいいのだが、少々活動的に過ぎるきらいがある。俺たち〝前衛〟並みに跳び跳ねたいらしい。だから〝
そのリオンが次に絡んだのが〝
リオンに絡まれることになったレスターは、〝気のいい親父〟という表情で応じている。いつもの通りにウィットに富んだ〝切り返し〟でリオンを
そんな様子を見て美味そうに缶ビールを
豊富な経験を踏まえた冷静な戦術家……すでにA級のトループスで〝
戦闘が好きで好きでたまらない、という
とまあ、この面子が俺の仲間…──
さて、最後になったが、俺のことを紹介しておこうか。
TACネームは〝
名をジェイク・ハックマンという。
それ以上のことは、ま、追々に……ということにしよう。
……今日も俺は生きている。
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