第5話 アビリティ変更
〉〉Lv:5→6
〉〉ランク:F→E
「あ、がった。…………上がった!!」
念願のFランク脱出に、わなわな震えた。
しかしすぐにソラは頭を振った。
「まだ、本当に上がったのかはわからない」
Fランクになってから、ソラはかなりの数の魔物を倒してきた。
成長の頭打ちを実感してからも、相当数は狩った。
だが、ずっとFランクのままだった。
冒険者のランクは、冒険者協会の関係施設で測定出来る。決して安くないお金を払い、何度も測定した。
そこでFランクと判定され続けたので、ソラが停滞していたのは間違いない。
なのに、たった一回ゴブリンを倒しただけでランクが上がるだろうか?
「……もしかして、あの黒い煙のせいかな?」
これまでずっと上がらなかったランクが、突如上がるようになった。
その前後であった普段と違う出来事といえば、黒い煙を浴びたことだけだ。
黒い煙を浴びて、ステータスボードが出現するようになった。
「もしかしたらその時に、限界突破スキルが手に入ったのかもしれないのか」
レベルが上がったことで、SPが手に入ったはずだ。
そのポイントを割り振ろうと、ソラはステータスボードに目をやった。
名前:天水 ソラ
Lv:6 ランク:E
SP:0→5 職業:初級荷物持ち→中級荷物持ち
STR:5 VIT:6
AGI:11 MAG:0 SEN:7
アビリティ:【 】+
スキル:【完全ドロップ】【限界突破】【インベントリ】NEW
装備(効果):――
予想通りレベルアップによってSPが上昇していた。
それと、変化はもう二つ。
「あれ? 職業が変わってる?」
Eランクに上がったせいか、職業が初級から中級へと上昇していた。
体感は、なにも変化がない。それは荷物持ちだからか。
「変わったところといえば、スキルが増えたくらいかな? ということは、このインベントリって中級荷物持ちのスキルなのかな」
インベントリとは、持ち物を異空間に収納するスキルのことだ。
このスキルを持っている冒険者は、希にだが存在する。
ダンジョンで使用する消耗品や、魔物からのドロップ品を、大量に制限なく持ち運び出来る。
このスキルを持っている者は、例外なく大手ギルドに囲われている。
希少性が高く、他に代えが効かないスキルだからだ。
「まさかインベントリを手に入れられるとは思わなかった……」
これがあるだけで、大手ギルドに所属出来る可能性が高い。
大手ギルドに所属すれば給料が出る。生活が安定する。
しかしソラは、大手ギルドに興味がない。
何故なら大手ギルドが求めているのは、インベントリを持つ運び屋だからだ。
たとえソラが戦いたくても、ギルドはそれを望まない。
「まあ……、最悪はその道もあるっていうことか」
戦えなくなった場合は、考えるかもしれない。
けれど今は、一人で立ち上がる力が欲しかった。
Fランクだからと、叩き潰されないように……。
「……いや、もしかしたらそれが、手に入るかも?」
ぞくぞくっ、とソラの背筋が粟だった。
ソラの中で、鎮火していたはずの好奇心が、一気に大きく燃え広がる。
「とりあえず、何が出来るか確かめてみないと!」
ダンジョンの中にいることも忘れて、ソラはステータス画面をペタペタとさわり始めた。
先ほど、SPの自動分配を切り替えた時のように、他になにか仕掛けがあるのではないかと思った。
ソラの予想通り、ある一点に触れた時、小窓がポップアップした。
『アビリティを設定します。下記の中から選んでください』
【成長加速】【自然回復】【STR強化】【AGI強化】【VIT強化】【SEN強化】
「おおっ!」
その小窓を見て、ソラは歓喜の声を上げる。
文言の下に並んでいるのが、アビリティといわれるものだろう。
どうやらここでは、アビリティが選択出来るようだ。
「……これは変更可能なのかな?」
現時点では不明だ。
ひとまず選んで損がないものをタップする。
〉〉アビリティ:【 】+→【成長加速】+
再度ソラはアビリティをタップ。
すると、同じ文言とアビリティの一覧が浮かび上がった。
「おー、変更可能なのか。とすると、状況に合わせてアビリティを入れ替えられるな。……装備出来るアビリティの数を、もっと増やせないかな?」
試しにソラは、【成長加速】の横にある『+』をタップする。
すると小窓が出現。
『コストが上限に達しています。アビリティ欄を拡張出来ません』
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