第17話
空腹感を満たす為にレストランへやって来た皐と空は、それぞれの頼んだメニューを食べ終わって一息入れていた。満腹感によって眠気に襲われる皐だったが、目の前に現れたチョコジャンボパフェに眉を寄せていた。
「お前、良くそんなもん食えるな」
「デザートが別腹なのは、女子の特権なのですよ」
「はいはい。つか、さっきカルボナーラとハンバーグだろ?食い過ぎだろ」
チョコジャンボパフェを前に目を輝かせている空を見て、皐は目を細めながら嫌悪感に満ちた表情を浮かべている。そんな皐の視線を放置する空は、嬉しそうにしながら生クリームを平らげている。
そんな様子を見て皐は胸焼けをしているようだが、空は勢い良く食べ続けている。両頬を膨らませ、小動物のように食べ続けている様子を頬杖をしながら眺める。その視線に気付いた空は、小首を傾げて皐に問い掛ける。
「何さっくん、食べたいの?」
「いや、俺の顔を見て欲しそうに見えるか?」
「う~ん……はい、あ~ん♪」
「いらねぇよ」
「え、欲しいのかと思って」
「いやいやいや、お前の目は節穴か?どこをどう見たら欲しそうに見えるんだ」
「真っ直ぐ好きなさっくんを見つめてたら、かな?」
「……はぁ、お前はブレないな」
「それがあたしですから。それに、こんな事言ってもさっくんは怒らないしね。あ~む、~~おいひい♪」
「はいはい、それは嬉しい事で」
楽しげに、嬉しげにチョコジャンボパフェを頬張る空。その満面の笑みを浮かべる空を見つつ、皐はドリンクバーでコップに注いだウーロン茶を飲み始める。
周囲からチョコジャンボパフェを頬張る姿が映えているのか、美味しそうに食べている空の姿に見惚れているのか。他のテーブルの客から視線を向けられているようだった。
その様子に対して空は気付いている様子はなく、未だにチョコジャンボパフェを頬張り続けている。皐の視線に気付いた空は、ニッコリと笑みを浮かべる事で視線に応えていた。
皐の視線を勘違いした空だったが、皐は溜息混じりにチョコジャンボパフェを平らげた空に告げる。
「満足か?」
「んふ~、美味しかった。余は満足じゃ」
「いつの時代の奴だよ、お前」
「平安時代の後に使われたはずだよ?……あれ、違ったっけな」
「いや、知らねぇよ」
そんな言葉を交わしつつ、皐は空と共に会計を済ませてレストランを後にした。肩を並べる空は「次は何処行く?」と言ってるように顔を覗かせ、皐は横目でその様子に思案を巡らす。
しかし、大した案が思い付かなかったのだろう。逆に皐は視線で「お前は?」と行きたい場所があるのかと問い掛ける。だがニッコリと笑みを浮かべた空は、そんな問いを返す間もなく腕に抱き着いて告げたのである。
「あたしはさっくんとなら――何処でも良いよ♪」
「耳元で囁くな。気持ち悪いし、こそばゆい」
「またまた~、照れちゃって」
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