第4話
それから間もなくして、学校は壊されることになった。
真実空が廃校の調査にいった以来、怪奇現象は起こっていない。
しかし、あのあと座敷わらしたちはどうなったのだろうか。
そんな疑問を抱きながらも数日が過ぎたある日のことだった。
事務所にいったサリノはまず目を丸くした。
なぜなら、事務所に来たら和服姿の子どもたちが5人ほどいたのだ。
いったいどこの子どもだろうかと思っていると、その中の一人が昨日学校にいた少女であることが分かった。
「アノオ。真実空サン。コレハ?」
「ああ、座敷童だよ。学校の座敷童。別の言い方をすれば、花子さんや太郎さんと呼ばれる存在だね」
そういわれても、サリノにはピンとこない。
「うーん。なんていうか。ゴーストとは違う。ゴッドみたいなものかな」
「ゴッド?」
「そう。ようするに学校の守り神ということさ。その学校に通う子供たちが無事卒業できるように見守っているという感じだね。大概各学校にはいる」
「ソウナンデスカ。デモ、ソンナ彼ラガナゼココニイルデスカ?」
「それは学校がなくなったからさ。普通の座敷童は人がすまなくなつた家にはずっといれないんだ。だから、他の家に移り住む。だけど、学校の座敷童のこいつらの場合は状況がちがう。なにせ学校が次々と閉鎖されてしまっているからね。行ってもすでに定員オーバーでどこにもいけないなったんだよ」
定員オーバー。
そんな規定が妖怪の世界にもあるかとサリノは思いながら、話の続きをきいた。
「まあ、元々あのカメレオンの『鬼』がわが物顔で廃校に住み着いていたからね。怖くて出れなかったそうだ。カメレオンの『鬼』が消滅したから自由に出れるようになつたわけさ」
「逆イエバ、出ヨウトオモエバデラレタイウコトデスカ?」
「そういうことになる。でも、こいつらは基本的に憶病者だから、学校から出たらひどい目にあわされるとでも思っていたのだろう。だからでることができなかったわけだ」
そうだろうといわんばかりに座敷童のほうを見る。すると五人ともうなずいている。
「事情ハワカリマシタ。ダケド、ナゼココニイルデスカ?」
「さっきもいったように、こいつらには行く当てがないんだ。だから、ここの事務所に住むところがも見つかるまで住まわせることにしたというわけだ」
そういいながら笑顔をむけている新人の真実空に一体どんな権限があるというのだろうかとサリノは疑問を抱いた。
つうか、
「幽霊調査隊」ってネーミングはやっぱりダサい
新人に権限があるならば、サリノにも権限があるはずだ。
今度、「幽霊調査隊」を別の名前に変えるように“新人の権限”で進言しようとサリノは考えるのであった。
ミッション1
了
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます