第8話 同胞

あたしは、ネットの中の同胞達との会話を楽しむようになっていた。


「分かるぅ〜。」

「辛いよね。」

「何で自分だけ。」


みたいな、同情や慰め、被害意識の連帯感を共有できるのは、少なからず、あたしのイライラを抑えてくれた。


その中で、あたしが感化されたのは、

「それも、個性だし、分かる人にだけ分かってもらえればいいんじゃない?僕はそう言う人の能力で人を判断しないよ。ようは人間中身じゃん。」

って言葉。


正直、あたしは若かったせいもあるけど、その言葉があまりにもエモくて、ぐっときた。

あたしは、すっかり、その人を信用できる人だと思い込んでしまった。馬鹿娘。


あたしはその人と個別に連絡を始めて、近々お会いする事になった。


それがあたしの初めての彼氏になった。

彼は確かにあたしの話しを全部聞いてくれて、全部肯定してくれた。

マジ神対応。


あたしは一気に救われた気分になって、21歳の冴えない彼氏に夢中になった。

クッソ馬鹿娘。


彼の力は、あたしに比べたら、弱いものだったけど、あたしと同じように、スプーン曲げを見せてくれた。

彼も中学生で力に目覚めで、同じ苦労があったけど、今はそんな自分を受け入れているって言ってた。

大人なフリをしてたよ。実際。


まぁ、とにかく、人間ってさ、同じ価値観の人と一緒にいたら、楽だし、安心感はあるよね。

程度の違いはあるけどさ。

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