おかえり

敦と鏡花が無事戻ってきた。多少怪我はあるものの、与謝野女医がいる探偵社ではあんなもの怪我のうちに入らない。本人は嫌がるだろうが。なんにせよ、二人のものへ向かう。

「二人とも無事で良かったよ。」

「よくやったじゃないか」

「僕の作戦通りだね」

口々に労いの声を掛ける社員たち。倒れた芥川をつついていた太宰が振り返った先には、社員たちに囲まれた敦と鏡花がいた。そんな二人を見て、太宰はそっと呟いた。


「おかえり」


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「ねぇ、僕お腹空いた〜!」

どこからか迷い込んだ三毛猫とじゃれていた乱歩が叫んだ。猫はというと、満足した顔でふいとそっぽを向いて去ってしまったようだ。時刻は進み、夕陽が水平線へと沈んで宵闇が迫っていた。

「皆の者、今日はゆっくり休め」

勝利を祝っていた社員達だったが、社長の言葉に甘え、寮に戻り始める。勝ったとはいえ、満身創痍だ。長期戦の疲れもどっと思い出す。


「いやぁー、大激戦だったねぇ。」

寮へ戻る道すがら、太宰が口を開いた。

「全くだ。こんな無茶な戦いをしたのは初めてだ。ポートマフィアと手を組むなど、!!」

隣を歩く国木田がため息をつく。

「敦くんも成長したものだ。」

前を歩く敦を見て微笑んだ、直後。

「それにしても私の過去を知った時の国木田くんの反応ったら、んふふ、ふふ…ふ」

思い出して笑いが漏れる太宰。本人は堪えているつもりだろうが、全く堪えきれていない。国木田の怒りが露になる。

「だーざーいー!!!!」

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