第45話 クレイジー男の『凶弾』! 生死の境をさまよった僕を救ったのは彼女の……
乗客をおろして、列車のわきに並ばせて。
僕は金品を次々と袋に入れていった。
「早くしろ! もたもたしていると、順番に殺していぜ……ククク」
「ぐっ!」
クソォ……。
いや、ここはガマンだ。
自分をおさえろ!
ここで怒りにまかせたら、みんなに危害が!
「だいじょうぶ、アンタは何も悪くない」
「気に病む必要はないのよ」
「悪いのは全部、あの男だ。気にしなくていい」
「みなさん……」
乗客のみなさんは、こんな自分に優しい言葉をかけてくれる。
そうだ。
今は乗客のみんな命を守らなきゃいけない!
「はい、フィル……回収してきたよ」
「オレも、終わったぜ」
「はい、フィルくん」
「みんな、どうして!?」
なんで手伝っているんだ。
列車強盗の片棒を担がせられるのは自分だけでいいのに!
「だって、アタシたちは家族なんだから」
「そうだ。苦しいときもいっしょだ」
「だから、罪もいっしょに背負うわ」
みんな……。
「ククク……泣かせるねぇ~」
「エリオットォォ!」
「おっと、乗客がどうなっていもいいのか? ほら、終わったんだろ……持って来いよ。ククク」
「く、くそぉ……」
くちびるをかみしめ、分はエリオットに麻袋をわたす。
「これでいいんだろ! さぁ! 乗客を解放しろよ!」
「ククク……そうだな」
TCHAK――ッ!!
「え……」
BAM!
…………………。
…………。
……。
デリンジャー銃?
そんなのを隠しもって――。
DOSCH……。
「フィル!!!」
だめだ。
力がぬける――。
なんだこれ、赤いの――。
そっか。
僕、うたれたんだ……。
「ククク! ははは! どうだ! 血にはいつくばる気分は!? オレはテメェのせいで死ぬ思いしたんだ! このオレがだぞ! わかるか!」
なにを言っているんだ?
もうちょっと大きい声でしゃべってくれ。
「どうだ死ぬ気分は!? あぁ!? 痛ぇか!? 苦しいか!? オレは今のテメェと同じ気分を味わったんだよ! せいぜい苦しんでイキやがれ! はははっ! はははははっ!」
「……あぁ……フィル! フィル! しっかしして!」
「ゥワァン! ゥワァン!」
ウィン。
泣いているの?
それにキキ……。
あぁ……また泣かせちゃったんだ……な……。
「テメェ! よくもオレの弟を! 許さねぇ!」
GANK!
「はっ! オレとやりやおうってか! 上等だ!」
BAM! BAM!
だれか……戦っている?
「ウィン! フィルをお願い! 治すのよ!」
「フィル! フィル! お願い! 死なないで!」
くそ、二度とケガしないって約束したのになぁ……。
「ウィン! しっかししなさい!」
BASH――!!
「……ぁ……リリー姉ぇ……アタシ……」
「いい、ウィン、よく聞いて、あなたがフィルを助けるの! おれはあなたしかできないことなのよ!」
「……うん、ごめん。リリー姉ぇ」
「私はレヴィンを助けにいくから! たのんだわよ!」
リリー姉さんがなんだか遠くへ。
………………。
…………。
……。
あれ、へんだな。
視界が……。
それに……
痛みが感じない。
とうとう死ぬのかな……。
なんだか。
さっきウィンが言っていたこと。
わかった気がする。
残してあげたかったって。
ああ、もうだめだ。
考えるのも……もう……。
なんだか気持ちよく――
……………………?
「あれ!?」
「ああ! 気が付いたんだね! フィル!」
なんだ!
どうなっているんだ?
体が白く光っている?
「なにが……どうなって……」
「よかったぁ……ほんとに……よかったぁよぉ……うわわわああああああああ!」
なにがなんだか。
でもとにかく。
「ごめん、また、泣かせちゃったね」
「……ううん、いいの。フィルが無事ならそれで……」
「ウィン。いったい何をしたの? たしかエリオットにうたれて……」
「【
そっか、それで。
見るとキズがない。
しかも弾も取りのぞかれている。
「……はじめてだったからうまく使えるかわからなかったけど……よかった。ほんとによかったよぉ……」
「ありがとう。ウィン……また助けられちゃったね。そうだ! アニキとリリー姉さんは!」
「……えっと、うん、レヴィン兄ぃはエリオットっていうやつを追って列車に、リリー姉ぇはその後を追って――」
「ゥワァン! ゥワァン!」
キキがなにやらほえるのでふりかえる。
PFSSSSSSSSSSH――!!
Choo……Choo……Choo……。
車輪が――動いた?
「うそ、走り始めている?」
「ま、まずい! ウィン! キキ! このままだと! 行こう!」
「ゥワァン! ゥワァン!」
「うん!」
僕らは展望車へと飛び乗り、再度先頭車両に向かったんだ!
けどその半ば。
「なに、これ……」
『UUUUUUUUUUUUUUUGG……』
『UGGGHHHHHHHHHHHHHH……』
動き回る死体モンスターが行く手をふさいでいたんだ。
「ゾンビ? どこからこんなものが!」
「ひどい……ニオイ……」
だけど、もたもたしていられない。
「ウィン! 一気に突っ切るよ!」
「え? あっ! そっか! 私の
そう!
〈フォールンスター〉様が解放してくれた力がある!
<
【攻撃補正】――Lv1 1423×2
【命中補正】――Lv1 3044×2
【重量】――Lv1 19oz,25oz
【会心補正】――Lv1 20.6×2
【
【魔力補正】――Lv1 474
【追加効果】――
【追加効果】――
【追加効果】――
【追加効果】――
これだ。
とにかく三番目の【追加効果】はすごいのなんのって。
なんと大きな一枚岩をたった一発でふっ飛ばしたんだ!
だから、せまいところでぜったい使わないでって言ってある。
でも
『GRHAAAAAAHARHAHHAAAA――!!』
おそいかかってくるゾンビたち!
「おそいよ! ほっ!」
ウィンがゾンビたちの頭を飛びこえる!
JANG! JANG! JANG!
GRASH!
「せいっ!」
SLASH!!!
かけ声とともにクサリがゾンビたちの首を巻きついて焼き切った!
GOTOKGOTOKGOTOKGOTOK――!!!
うわぁ……全滅。
「さぁ! 急ごう! フィル!」
「うん……」
出る幕あるかなこりゃ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
次回! 「どこまでも彼女は『本気』! 約束だからね! これが終わったらその時はっ!」
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