第46話 どこまでも彼女は『本気』! 約束だからね! これが終わったらその時はっ!
そして10分――。
列車内にあふれるゾンビたちをなぎはらい、ようやくアニキたちと合流できたんだ。
「アニキ!!」
「リリー姉ぇ!」
「その声はフィル! 助かったんだな!」
「ああ、ウィンのおかげでなんとか!」
「フィルくん……よかったぁ。ウィン、ありがとう! よくやったわね!」
「うん! リリー姉ぇ! アタシやったよ! ありがとうリリー姉ぇ……もしあの時リリー姉ぇがしかってくれなかったら――」
「話は全部終わってからにしましょう。今は――」
僕たちの前に立ちはだかる二体のゾンビ。
『UGAAAAAAAAAAAHHHHGAAAAAAA……』
『BLEEEEAAAAAGGHAAAAAAAAAA……』
でも、自分はその二体のゾンビに見覚えがあったんだ。
「さっきからこいつらのコンビネーション! 手ごわいのなんのって!」
「精霊術を使おうとすると必ずジャマしにくるの! ラチがあかないわ!」
だろうね。
二人のコンビネーションは最高だ。
だって兄弟だから!
「そうだと思う!だってこいつら昔の仲間のエディとヴィニー! 二人は兄弟!」
「なんだって!」
きっとコンビネーション技【バイナリー・スター】を食らったんだ。
「ヴィニーのキック、エディのパンチ、ヴィニーの【スーパー頭突き】、エディの【ヒップアタック】でダブルラリアットで決めてくるんでしょ?」
「んああ! そうだ! その【スーパー頭突き】ってのはよくわかんねぇが、たしかそんな感じだ!」
エリオットがいないだけマシ。
あいつがいたら【トリニティ・スター】になってさらにメンドウになっていた。
「だいじょうぶ! エディのパンチの防ぐかよけて! しゃがめばいいだけ!」
「そうなのか!?」
「うん、練習に付き合わされていたからね! たびたびよけてやったよ!」
「はっ! フィル! やっぱお前サイコーだぜ!」
とにかく二人がなぜゾンビになってしまったのかは後で考えよう!
「クーン!」
「え? キキ! 自分がタイミングはかるって!?」
「ク~ン」
そうしてくれるのはありがたいけど。
いや、それならいけるか!
だってアニキの
〈
【攻撃補正】――Lv1 878
【命中補正】――Lv1 741
【重量】――Lv1 98oz
【会心補正】――Lv1 1.6
【魔力補正】――Lv1 95
【
【追加効果】――
【追加効果】――
【追加効果】――
【追加効果】――
これもとにかく三番目は使うなって言ってておいた。
「だったら話は簡単だ! 二人は先いけ!」
「はぁ!? なに言ってんのレヴィン兄!」
「どういうことだよ!? アニキ!」
「二人ともよく聞いて! あのエリオットっていう男はこの車両を近くの町につっこませる気みたいなのよ! 去り際にそういっていたから!
」
「「えぇぇぇぇーーーっ!!!」」
くそ!
エリオットのやつ!
なんてことを考えやがる!
「だからここは私たちにまかせて! 二人は先に行って! おねがい!」
たしかさっき駅を出たのは多分三十分前……。
カルサイトリコの次、ツァボライトのグロッシュラービル、その次はタンザナイトだから。
乗務員の人、たしか1時間ぐらいって言っていたよな。
すると――。
「フィル! いこう! きっとそんなに時間がないよ!」
「そ、そうだね! 行こう!」
ああ、くそ!
ウィンの言う通り!
ほんとに時間がないぞ!
――サードニクスヘヴン行き ソリッド・ソリューション・ライナー 二両目――
「くそ! ここにもまだ!」
先頭車両へと進む僕たちの前にまたしてもゾンビたちにはばまれる!
「あともう少しなのに!」
あと一両!
しかもさっきより多い!
ざっと二十はいるか!?
「フィル! ここはまかせて! 先行って!」
「でも!」
「いいから! こんなゾンビなんて! アタシ一人で十分! 楽勝だよ!」
た、たしかに今は一分一秒もおしい!
「わかった! ウィン! たのんだ!」
ほんとは一人にしたくない!
でも、ここでもたもたしていたら大勢の人が死ぬ!
自分はくちびるをかみしめて、ふりかえったよ!
「フィル! あの約束忘れないでね!」
「え? あ!」
こんな時に何言ってんだろうって思ったよ!
さっきは気が動転していたんだと思っていたけど。
どうも本気っぽい。
「忘れてない! これが終わったら! その時は!」
「イシシ! 約束だからね!」
なんだか久しぶりにいたずらっぽく笑うウィンを見た気がする。
きっと大丈夫だ。
ここが通れない以上、連結部から屋根に上がって、僕は先頭車両を目指した!
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
次回! 「絶体絶命! 『覚悟』を決め銃爪(ひきがね)を引く! 強烈! 必殺の弾丸!」
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