そのことばかり考えてる

朝テレビのスイッチを入れると、ニュースキャスターが「おはようございます。世界の終わりは延期されました」と言う。


ある女がそれを聞いて、朝食の準備に取り掛かる。お祝いに少しだけおかずを多めに作る。

世界が救われたことを、

娘が大きなことを達成したことを心から祝した。


遥香は今日も学校へ行く。

そのカバンの中にはシュークリームが入っている。


---

この世界を誰が作ったか。

そのことばかり考えてる。

誰もその答えを知らない。

でも、私は知っている。

この世界を誰が作ったか、私は知っている。


この世界を作ったのは北極星だ。

北の夜空で一歩も動かずに大地を見下ろす北極星がこの世界の創始者である。


北極星はこの世界を2つに分けた。

東と西。それぞれ2つの独立した地域。


それぞれ2つの星に統治を任せた。

東を北斗七星、西をオリオン座。

なぜ彼らだったのかは北極星に尋ねるほかはない。


北斗七星もオリオンも同じやり方で統治した。

地上で生きる人間の中から自らの代理人を選び、代わりに統治させた。


北斗七星の代理人を東の者、オリオンの代理人を西の者と言った。

代理人として選ばれた人間は、世界を統治するための力を与えられた。


人間には寿命がある。

代理人が死ねば、また次の代理人を選ぶ。

そうやって歴史は紡がれてきた。


その歴史の中で、大きな野望を持った者が現れる。

「この世界に2人の統治者がいるのは、いささか納得できない。この世界の統治者は1人でよいのではないか」


その人間は東の者だった。

だから北斗七星に自らの想いを伝えた。


「だったらこの世界を滅ぼせばいい。滅した後で自らの王国を作ればいい」北斗七星は彼に伝える。


「どうやって世界を滅ぼせばいいのでしょう?」

北斗七星は少し間を置いてから答える。

「高い塔を立てなさい。できるだけ高い方がいい」

「塔を立ててどうするのですか?」

「その塔を使って星を集めます。できるだけたくさんの星たちを集めます」

「星を集めてどうするのですか?」

「星を集めて大きな時限爆弾を作ります。とてつもなく大きい爆弾です」


こうして東の者と北斗七星は力を合わせ、世界を滅亡させようとする。

西の者とオリオン座はそれを阻止するために立ち上がる。


北極星は一歩も動かずに、それを見守っていた。

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シュークリーム Kitsuny_Story @Kitsuny_Story

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