第56話 ホワイトデーコラボ③
「『高校時代の話をしてください』って来てるぞ」
「高校時代の話かあ」
チョコを30分ほどで選び終わった2人は、少しばかりの雑談をしていた。
「まぁすーちゃんはモテてたよね」
「そうか?」
「バレンタインとかもそうだけど、女の子から誕生日プレゼントいっぱいもらってたじゃん」
「そうだっけか」
和やかに思い出話を語る。
まるで同窓会で久しぶりに集まった旧友のようだった。
「すごいよ。だってすーちゃんは名前も知らない女の子からもらってたんでしょ?」
「たまにだったけどな」
「たまにでもすごいよ。だって、すーちゃんの誕生日を知ってるってことでしょ。なかなかないよねぇ」
「まあたしかにそれはそうだな」
リスナーも『誕プレもらうの⁉』『高校時代から有名人じゃん』『うわ、イケメンだ逃げろ』と驚きの声を上げていた。
「でもすーちゃんっていつごろからモテてたの? 中学の時から?」
「それを俺に言わせるのかよ……。まあぶっちゃけ、中学校の卒業式でボタン全部剥がされた」
「えっ、すごっ」
政木が驚嘆の声をあげる。
『マジでボタン取られるやついるのか』『イケメンは違う』『俺も自分のボタン全部取ったぞ。自分で』などと初耳の情報にリスナーも盛り上がっていた。
「でもすーちゃんって彼女いなかったよね。あれはどうしてなの?」
「んーまあ演劇に専念したかったし。あとは今の彼女って幼馴染なんだけど、その時から怖かったっつーか……いや、なんでもない」
「あはは……すーちゃんも大変だなあ」
政木としてはどうしてそんなに怯えている彼女とうまくいっているのだろうと不思議に思ったところだったが、むしろ浅川にはそれくらいの女の人がちょうどいいのかもしれないと考え直した。
「それよかお前の話をしようぜ」
「僕の? 僕なんてあんまりないけどなあ」
「えーじゃあこれから暴露大会を始めようと思います」
「あっ、ちょっ」
政木が浅川を止めに入るが、逆に浅川は政木の口を塞いだ。
「あっ、もがががっ」
「何から話そうかな~。あ、そうそう。こいつが2人から同時に告白された話でもする?」
「もがががががっ!」
浅川がその話を始めた途端政木の声も強くなったが、力では浅川の方が上。
『ふむ、聞かせてもらいましょう』『なにその修羅場みたいな話……』『政木もなかなか壮絶で草』とリスナーも話に興味を示した。
「いや、ほんとすごくて。ご飯食べてる時に後輩2人がやってきて、どこ行くのかなって思ったら屋上でさ。なんか2人から同時に告られてたんだよな」
「もごごごごごごごごごっ」
「そのときのこいつの顔、ほんと焦りすぎてて面白かった。まあ結局2人とも断っておじゃんになったんだけどな」
「もごがっ、そ、その話はやめてっ‼」
なんとか命からがらに浅川の拘束を抜け出した政木。
だがその時には既に遅く、『もしどっちかを受け入れたとしたら地獄で草』『政木もなんだかんだモテモテかよ』『2人同時に告白することになった経緯が気になる』とリスナーは話をすべて聞いてしまっていた。
「まだあったよな。そうそう、学校の図書室で勉強するってなったとき、その日だけ
図書室の人数が多くなって。担当の先生に『図書室で勉強するな』って言われたんだっけ」
「あれは今になって思うけど、理不尽だった……」
次から次へと掘り起こされる、政木の武勇伝の数々。
「なんかこうして挙げていくと、お前の方がモテてるよな」
「そんなことないよ。たまたま変な話が多かっただけで……」
「まあそれもあるけどさ」
うんうんと納得する浅川。
『この2人やばくね?』『全然次元の違う話やんけ』『政木、バケモンで草ァ』とリスナーももはやため息を吐いてしまうほどだ。
「昔っからお前って女運がないっていうか、変な女に見つかるよな」
「そ、そうかな?」
「うん。それは見てる人も同じ気持ちだと思う」
「だよな?」と浅川が聞くと『現在進行形ですそれ』『女難の相は高校時代にルーツがあったのか』『たぶん今も厄介な女がこの配信を見てます』とリスナーは頷く。
「まぁ、だからよー。今度こそちゃんとした人を見つけてほしいわ。浮気とかしなくて、真面目な人がいいんじゃねえの?」
「今は仕事のことしか考えられないけどな~。余裕出来たらちょっとは考えてみるよ」
「それでよし」
こうして異色のコラボ配信は終わりを迎えた。
なお最後の言葉に対して『やっぱり夕暮は政木に近づかせたらダメだな』とリスナーが再認識することとなった。
――――――――――――――
作者です。
本当に申し訳ないのですが、明日からは不定期更新にさせていただきたく思います。
理由は単純で、自分の中で構想がまとまらなくなってきたからです。作者の実力の限界が来てしまった。
政木の3D配信、いつ来るか全くわからないオフコラボ、長良との温泉旅行などイベントはたくさん用意しているのですが、これどうしたらええんやってなってます。(モニターに白目剥いてる作者を想像してください)
作者の勝手な都合で更新頻度が落ちてしまい誠に申し訳ありませんが、クオリティ高くみなさんに笑いとちょっぴりの恋愛をお届けできるように頑張ります。
気長にお待ちいただければ幸いです。
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