第42話 20万人記念配信(ソロ)①
政木のYoutubeのチャンネル登録者は年が明けてからまた急上昇を果たし、2月に入るころには20万人を迎えていた。
その理由となったのが、俳優の
その結果、浅川昴はサブカルチャーに接してくれている俳優ということでオタクたちから人気を浴び、逆に政木はVtuberに興味のなかったライト層の人たちから注目を集めることになった。そしてこのチャンネル登録者の増加につながったというわけだ。
ただあまりにも急な伸びだったので、以前の10万人記念の時のように『歌ってみた動画』を用意する時間もない。
そこで選ばれたのが、今までに視聴者からプレゼントでもらったものを公開しようということだった。
「そういう経緯で、今日は皆さんから頂いたプレゼントを紹介して、このタイミングでお礼を言えたらと思います! ちなみにプレゼントを開けてくださるのは、僕のマネージャーさんです。今日はお願いします」
Vtuberはバーチャルな世界にいるというのが通説なので、実写配信には特に気を遣う。そこでプレゼント開封をマネージャーの大津に任せ、カメラは大津の手を映すという戦法を取った。
無論、今日は政木も大津も事務所の方で配信を行なっている。
『いえーいマネさん見てるぅ?』『政木のマネージャーとか大変そう』『プレゼントの数えぐそう』などリスナーも期待の声で配信を待っている。
「じゃあ早速…………というかこれは開封というより紹介なんですけど」
まず最初に紹介されたのは、山のように積まれたトイレットペーパー。
「モグちゃんさんから頂いた…………トイレットペーパー1年分です。しかもかなりいいやつ、みたいです……」
もうすでにたくさん積まれているのに、大津がそこにさらに積み込んでいくほどの量。
『化け物リスナー居て草』『政木にどうしてほしいんだよ』『こういう意味でえぐいパターンもあるんか』と最初から度肝を抜かれるリスナーたち。ちなみに必死でトイレットペーパーを運ぶ大津は、後に事務所内でネタにされたという。
「時間がないので続々と紹介していきます。続いては……これもなんなんですかね? たぶん書き
大津が広げたところにはたしかに、力強くそして綺麗な字でそのように書かれていた。『そいつたぶん南半球に住んでる』『字が上手いのが腹立つな』『怪文書』などとリスナーも騒いでいる。ちなみに2月に謹賀新年と書かれた半紙を手に持って広げていた大津は後に事務所内でネタにされたという。
「『政木そろそろまともなのない?』ええと、次はおそらく普通のものだと思います。すみませんが、マネージャーさんお願いします」
今度は丁寧にリボンで結ばれた小さな包装がカメラに映る。
ようやく真面目なプレゼントがやってきた…………と思われたが、中から出てきたのは一枚のカードだった。
「これって、カードゲームのカードですか? 見たことないですが、すごい光り方してる…………ってみなさん、どうしたんですか⁉」
そのカードは政木にとっては馴染みのないトレーディングカードゲームのものだった。――が、しかし。それをカメラに移した途端一部のリスナーが騒ぎ出した。
『え、それって第5回大会のTOP16景品じゃ……』『やべえ、実物初めて見た』『いきなりこんなもの見ると思わなくて鳥肌立ってる』『前に百万円とか値がついてなかったっけ』と大騒ぎ。
「ひゃ、百万円⁉ だ、誰ですかそんなもの送ってきた人‼ 緑豆Jさん? そういうのはちゃんと自分でコレクションに入れておいてください‼‼」
政木の動揺する声が事務所内に響く。
ちなみに大津はそのカードが百万円だと分かった瞬間に顔が真っ青になっていて、しっかりその場を目撃されて後に事務所内でネタにされたという。
「はぁ、はぁ……次こそはまともなものを……」
疲弊しきった政木と、そして大津。
続いて選ばれたのは、大きな紙袋だった。
「すでに嫌な予感が……。いや、本当に嬉しいんですけどね‼ もっと普通のものでいいってだけで、お気持ちは本当に嬉しいんです!」
しっかり弁解をする政木。そして大津が開けた紙袋に入っていたのは、リュックサックだった。
「あ、普通ですごいかっこいい。すごく嬉しい、ありがとうございま……」
政木が喜んでいたところで、だがしかし。大津がブランドのところを広げてカメラに見えるように映した。
そこにはかっこよくアルファベットで、「L〇UIS VUITT〇N」と書かれていた。
『あ……(察し)』『わーかっこいいバッグだね!』『そこでブランド名をしっかり見せてくれるマネさんの有能さね』とコメントも大盛り上がり。
「……家で大事に保管させていただきます」
結果的にいつものスーパーチャットで殴られている光景と、なんら変わりはなかった。
「はあ…………嬉しいんですけど、みなさんやっぱり変人ですよね」
政木のプレゼント開封コーナーはもう少し続く。
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