第9話 #まさぐれの地獄コラボ(ライン編)②
「ロンです、8000点」
「ホンイツ、赤、ドラ5、親の倍満じゃあぁぁぁぁああ‼」
「え、また⁉ ちょ、ちょっと本当にもう点数が……」
政木は、ボコボコにされていた。
というか、林檎と夕暮の運が良すぎた。
破壊力のある一撃が2人から繰り出される。
現在の点数は、林檎が48000点、夕暮が47000点、政木が10000点。
かなり差がついてしまった格好だ。
「くふふふふ、このままならラインゲットに加えてオフコラボまで……ぐははははは」
「笑い方が完全に悪役」
「ひ、酷すぎますよ……」
「いいかい政木くん。大人ってのは、汚いんだよォ~」
「『カス暮』『お前は全部汚い』『政木、不憫』とか言われてますね」
「がははははは、勝つためならなんだって使ってやるさ~ぐへへへへへ」
仲間を失ったヒーロー、勝ちを確信する魔王。そんな構図が想像できてしまうような、そんな戦いになっている。
ただ政木を庇っているように見えるリスナーも、実は2人のコラボがもっと混沌になってくれればいいと思っており、『夕暮、あとは任せるぞっ‼』『オフコラボになっても手を出すなよ!』『次回、政木死す! デュエル、スタンバイ‼』といった盛り上げ役のリスナーもたくさんいる。
「くっ、ま、負けてたまるか……っ!」
孤軍奮闘の政木、しかし残りは林檎の親番のみ。
ここで2人のどちらかを上回らないと、ダブル罰ゲームが待っている。
「こ、これは……!」
しかしそんな政木に一筋の希望の光。
その手は、役満と呼ばれる麻雀で一番強い役を作ることができる可能性を秘めた手だった。
狙うしかない。
「おやおや、政木くんの様子がおかしいですねえ」
「役満でも作っているのでしょう。それ以外は勝ち目がないですからね」
政木はあっさりやりたいことを見抜かれてしまうが、そんなことは関係ない。
役満を作り上げれば勝ち。2人を抜いてトップに立てる。
『うおおおお国士無双だぁああああ‼』『政木やったれ!』『悪の権化を断ち切ってくれ!』と応援する声が大きくなる。
政木の配信には1万人の人が駆けつけていた。もちろん彼の配信の中では一番多い。
「やるしかない‼」
「ちょ、ちょっと主人公補正が発動し始めたんですけど……」
「これはまずいですね。流れが政木さんの方にいってます」
政木は順調に手を作り上げていく。
1つ、また1つと役満に必要な牌を持ってくる。
政木有馬は、最高に主人公だった。
「はいロン、1000点」
「ぼ、僕の国士無双がぁ……」
「このタイミングでも容赦ない。配信映えを気にしない女」
主人公ではなかった。
あっさり夕暮が試合を決め、夕暮と林檎が同点優勝を決めた。
最下位はもちろん政木。
「はいーラインゲットぉぉぉおおおお‼」
「オフコラボの日程を考えておきますね~。また予定を聞きますので~」
「じ、慈悲もない…………」
意気消沈の政木。
もしかしたら政木のVtuber人生はここで終わりかもしれない。
これが夕暮月日、そして林檎みかん。
炎上が多いのは、本当にいつもギリギリを攻めているからなんだと、改めて実感する政木だった。
「あ、そういえばみかん~」
「ん? どうかしましたか、月日さん?」
勝って喜んでいる様子の月日が、配信終了の前にみかんに呼びかけた。
そしてそれからいつものやつ。
「……オフコラボは、ちょ、ちょっと、は、恥ずかしいから…………また先にしてくれると――――助かります」
「いや、だからなんでこういうときだけ乙女なんだよ」
『ビビ暮さん、出たわね』『草』『政木、九死に一生を得る』とコメント欄も最後の最後で臆病になった夕暮に大笑い。
「いや、ほらさ! 何事も段階っていうのがあるじゃん! ほらさ、もう少し仲良くなってから、その、オフコラボしたほうが、いいかなって」
「ヘタレ乙」
「ぼ、僕も夕暮さんに賛成です!」
「ヘタレが増えた」
こうして、結局は何事もなくただライン交換をするだけになった。
……だけというのはおかしいかもしれない。
――――――――――――――――――――
レビューで推しのVを聞かれて答える場所がないので、ここで答えます。
おかゆんとアンジュさんです。
みぉーんも好きです。優しい方が好きです。
もしよろしければ、感想などでみなさんの推しを教えてください。同じ推しの方がいたら嬉しい。
Vtuberを知らない方にも分かりやすく書いていくので、のんびり読んでやってください。
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