調査開始

「今日がお見舞いに行く日だったよね? それなら祖父母の家に行く前に両親と話をしてきてくれないか?」


「それは構わないけど、どんな話をしてくればいいの? それと話をしてくるなら帰るのが遅くなるわ」


「大丈夫、少し位なら遅くなってもいいよ。それで話というのは給料についてなんだけど、少しあげて欲しいんだ」


……呆れた、楽な仕事をしてぐうたらに過ごし、私を騙して浮気してるのに、更にお金が欲しいって言うなんて。


どこまで人を馬鹿にすれば気が済むのかしら。


「分かったわ。それじゃあリストナ、行ってくるわね」


祖父母のお見舞いへ行くと嘘を吐き、夫のリストナが何処へ行っているのか調査する。


家の近くで両親と待ち構え、夫が家から出るのをじっと待った。


出てくるまで時間がかなりかかると覚悟していたけど、すぐに夫は姿を見せた。


そんなに早く浮気相手の所に行きたいなんて……最悪。


「あんな簡単な仕事すら投げ出すとはな。名家との繋がりの為に、我は娘をこんな奴と結婚させてしまったとは」


「貴方、気持ちは分かりますけど、今は娘の夫を追跡するのが先よ。さっ、急ぎましょ」


夫のリストナが馬車に乗って何処かへ行くのを、コッソリと後をつけたら夫の別荘に辿り着いた。


既に屋敷にはルーカナス伯爵家の馬車や、他の貴族の馬車が複数もある。


あの手紙にも夫が浮気者だと書いてあったけど、まさか複数の相手と同時に浮気してるなんて。


別荘に入り、私達は夫の浮気現場に辿り着いた。


……夫が裸で、ミスティノ・ルーカナスや他の貴族達と肌を重ね合わせてる所に。


「まっ、待て! 誤解だ、勘違いだ!」


「……」


恥ずかし気に手で恥部を隠しながら言い訳を繰り返す夫に、呆れて言葉が出なかった。


「リストナ、こんな事をしでかしたけじめをつけてもらうぞ」


そして、私が夫の姿を見たのは、これが最後だった。

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