直談判
「「申し訳ございません!」」
夫であるリストナの浮気を訊ねに両親と会い、二人に事情を話した瞬間、頭を下げて謝られた。
「そんな、いきなり謝られても困ります。夫の浮気の事を知っているなら話して下さい」
父親は母親と顔を見合わせた後、覚悟を決めた表情で浮気の真相を話し始めた。
「リストナは……子供が産めない体質なんだ。貴女との間に子供が産まれない事を不審に思い、調べてみたらリストナの下半身に問題があると分かった。
リストナが浮気をし始めたのも、跡継ぎが産まれない事を危惧したからなんだ」
「それって……夫の浮気が悪くないと言いたいのですか!?」
リストナの父親の言葉に、つい口調が荒ぶってしまう。
「いや、そうではない。浮気は悪い事だし、リストナには医者に治療してもらった後には謝ろうと思っていた。
だが、リストナは何度も言い訳をして治療を延期し、子供の出来ない身体で遊び回っている。
……本当に、申し訳ない」
「そんな……だったらどうして、私に話してくれなかったのですか!?」
「話そうとは思っていた。思っていたが……兎に角、リストナの浮気にはこちらも困ってる。もし、浮気の証拠が見つかれば、こちらも対処する」
「……そうですか、分かりました」
夫の両親には色々と言いたい事があったけど、もう話す気はなくなった。
二人がそう言うのなら、浮気の証拠を見つけ出して突き付けて夫と離婚しよう。
私の両親には申し訳ないけど、このまま政略結婚しただけの愛のない生き方なんて、もうウンザリだから。
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「……という訳で、浮気している人と婚約生活なんて出来ません。夫のリストナとは浮気の証拠を見つけ次第、離婚させていただきます」
家に帰った後、私は覚悟を決めて両親に事情を話す事にした。
夫と離婚すれば侯爵家との繋がりも消えてしまうけど、このまま我慢しながら政略結婚を続けるなんて出来ないから。
「侯爵家との繋がりを持つための政略結婚が、娘をこんな目に合わせてしまったとは……すまなかったな。
事情は分かった、浮気の証拠を見つけるのには私達も協力しよう。丁度、碌に仕事もしないぐうたらな男にはウンザリしていた所だ」
離婚の事は断られるかもしれないと思ったけど、私の両親はすぐに納得してくれた。
それにしても……自分では仕事が忙しいと言ってるのに、私にも父にもぐうたらな人だと見えるし、どれだけ自分に自惚れてるのかしら。
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