第37話 中間発表

 FAカップの決勝戦もすでに半分の日程を消化していた。


『さて、ここまで4試合を終えましたが、ここで一度結果の方を集計させていただきました!』

『下から順に確認していきましょうか』


 実況の声に合わせて、用意されたスクリーンに結果が張り出される。


 50位から40位。40位から30位。30位から20位。20位から10位。


『こうして見るとかなり拮抗きっこうした戦いになってますね~』

『良くも悪くも上に点数が集まっていますから。最下位から10位までの差は1試合でひっくり返せますね』

『それでは、そのまま上位の点数を発表していきましょう‼』


 今度は10位から1つずつ明かされていく。


『そしてそして! 5位はチーム『Animals』! こちらは前評判と比べて苦戦しているイメージでしょうか』

『そうですね。1戦目はチーム『カップル』に、2戦目はチーム『R』にそれぞれ初動で倒されてしまったのが痛かったでしょうか。しかし3戦目は不利な状況からなんとか2位に入っていました』


『そして4位はチーム『ツインターボ同好会』です。こちらはVtuberの白菜はくさいキャベツさんとFA所属のShark選手のチームですね』

『こちらは今大会のダークホース。まさかこのメンツのなかで4位に入るとは、えー、正直私も思っていませんでした!』


『3位はチーム『これはお前の物語だ!』です。こちらはFA所属のストリーマーであるAZさんと、Mercury所属のハルカス選手のチームですね。普通にガチのチームです』

『ガチですねえ。強いですねえ。ちょっと2位とは離されてしまいましたが、十分に巻き返すことのできる位置についていると思います』


 つらつらと順位が発表される。そしてこの時点でまだ名前の出ていないチームは2チームしかなかった。


『そして2位! まさかのここまでやってきてしまった、チーム『カップル』‼ 第3戦の22キル1位、第4戦の20キル2位で今波に乗っているチームです。現在得点は87ポイント!』

『まさか2位につけてくるとは、正直思ってませんでした。特にキル数が多く、見ていて楽しいですねえ。強化人間並みのフィジカルで勝ち上がってます』

『特にsiX_sense選手は今のところ個人キル1位ですからね。そちらも注目です』


 そして残り1チームとなった。


『最後に1位、こちらは他とは違い下馬評通りでした、チーム『R』! 見事108ポイントとぶっちぎりでの1位です』

『安定感がけた違いですね。4戦目こそ20位に残れませんでしたが、それまでが1位、1位、3位です。王者の勝ち方と言っていいんじゃないでしょうか』

『ただ2戦目終わったときは楽勝ムードだったんですが、チーム『カップル』の追い上げによりまだまだ目が離せなくなっています』

『他のチームにも火が点いてきていますよね。後半戦も波乱が起きそうです』


 こうして一通り順位発表が終わり、それからインタビューの方に移った。


 3位以内のチームが一斉に呼ばれて、それぞれのチームが一言ずつ後半戦への抱負を述べている。


『では続いてチーム『カップル』のお二人、よろしくお願いします!』

『あ、えっと、頑張ります!』

『……下手くそだね。まあ、1位目指して最大限に力を振り絞ろうと思います』


『では最後にチーム『R』のお二人、どうぞ』

『そうだね。僕たちは勝つために参加しているからね。負けることは許されない』

『と、この人は言ってますが私は楽しくプレイしたいです。ぜひ、特にsiX_sense君には再戦を挑みたいですね。さっきは負けちゃったので』

『おおっと、ライバル宣言だぁ‼ これはますます楽しみになってきました、後半戦‼ 最後まで目を離さないようにしてくださいね‼』



 こうして後半戦がスタート。そして勝負の行方ゆくえは、第八試合までもつれる展開になったのだった。

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