第30話 わたし、誕生日が変わったよ。
目が覚めて三日がたった。
わたしは、
ハサミでパチンと切られると、ちょっとだけムネが「チクン」と痛かった。
わたしは
だからね。わたしたちは占いをした。
したいといったのは
「この、
「
「うん。多分この占いは、ネズミの鬼の気持ちが入りすぎている。ネズミの鬼の気持ちが強く出過ぎちゃっている。占いって、私情をはさむと当たんなくなっちゃうから……」
「へー……そうなんだ」
わたしは、なんとなーくわかった感じの返事をした。
「あとね、
「え? どういうこと?」
「
だからね、誕生日もかわっちゃったと思うの。
死にそうになって生き返った人って、少し性格が変わることがあるんだよ。
あれって多分、一度死んで生まれかわっちゃったからだと思うんだよね」
「へー……そうなんだ」
わたしは、なんとなーくわかった感じの返事をした。
「だからね、ちょっと
わたしは、ちょっと何言ってるかわかんなかった。だからね、思ったことをそのまましゃべった。
「え? どういうこと?」
「占いはね、当たる時もあるし外れる時もある。わたしの場合、だいたい三回に一回くらいは外れちゃう。
でもね、
今までずっと「なんでだろう?」って不思議だったんだけど、たぶん、
わたしは、
わたしは、
「へー……そうなんだ」
って、なんとなーくわかった感じの返事をした。
・
・
・
シュッシュッシュ。
わたしは、スライドする机をベッドまでもってきて、船の形をした墨をすっている。
キーボードをカチャカチャと叩いて、タブレットに映った八つの漢字を見ながら、口に手をあててずっと首をかしげている。
首をかしげるたびに、灰色の耳が、出たり引っ込んだりしている。口を手にあてているからよくわかんないけど、多分、三本のヒゲも出たりひっこんだりしてるんじゃないかな?
「準備できたよ」
わたしは、墨をコトンと置きながら
もう、灰色の耳もヒゲも「ピョコン」とでっぱなしになっている。
(考え事に夢中になると出るのかな?)
「うーん、わかんない……多分、生まれた日がコレで、生まれた時間は、コレかコレ……なんだけど、この時間だと、日付もかわっちゃうし…………………………………………………………あれ?
いつのまにか準備ができてる!?
「うーん……とりあえず描いてみようかな……」
するとね……
(シッポもネズミの鬼とまざっていたんだ……)
「チュウチュウ! これだ! まちがいない!!」
広い広い草原に、おっきな木が一本だけ生えている。でもって、そこにサラサラとちっちゃな小川がながれている。
わたしが目覚める前に見た夢とおんなじ景色だった。
瑞子ちゃんは絵を描きおえると筆をコトンと置いて、その絵をみながらしゃべりはじめた。
「
本当に大事なときに、本当に大事なことが言えないタイプ。
でもね、生まれ変わって主役がおっきな木になった。今の
『メェー』
って言ってくれたから、助けられたって言ってる。「ありがとう」って言ってる。
ネズミの鬼だけじゃない。ウシの鬼も、トラの鬼も、ドラゴンの鬼も、ヒツジの鬼も、イヌの鬼も、イノシシの鬼も、
『メェー』
って、アドバイスをしてくれたから、今はとっても幸せだよって言っている。
わたしは、
でもね、わたしは嬉しかった。
「ここまでが、
一本だけ生えている木の上に、おっきなネコが眠っている。背中にキラキラした宝石がフワフワと浮かんでいるネコが、幸せそうに眠っている。
「
でもね、
「えっと……つまり?」
「相性はバッチリ! 最高の中の最高だよ!」
……そうなんだ。わたし、
……そうなんだ…………よかった。
あ、でも、
うーん、結局、わたしの運命の人って、三人のなかのだれなんだろう……?
わたしが頭をグルグルさせていると、
目線の先には、
トン♪ トン♪ トン♪ トン♪
トン♪ トン♪ トン♪ トン♪
トン?
って、リズミカルに交互に指をさして、灰色の耳とヒゲを「ぴょこん」と出した。
何をやっているのかな?
「……
「……え? な、なに!?」
え? どういうこと??
わたしが頭をぐるぐるさせようとしていると、背中の方からお父さんの声がした。
「ミコ!
もう、なにを飲んでもいいみたいだから、自動販売機にあったやつを全部買って来た!!」
って、ヨロヨロしながら病室に入って来た。
「ありがとう。これにする!!」
わたしは、迷うことなく黄色い缶の、あまっあまっのミルクコーヒーを取った。
「
お父さんは、ヨタヨタしながら瑞子ちゃんのベッドに向かった。
「ど♪ ち♪ ら♪ に♪
し♪ よ♪ う♪ か♪
な?」
って歌いながら、ブラックコーヒーと、こいめのちょっと苦いお茶を交互にさしていた。でもね。
「とりあえず、どっちもキープ!! えへ♪」
って、かわいくしたを「ぺろりん」って出しながら、ブラックコーヒーと、こいめのちょっと苦いお茶を、どっちも取った。
わたしは、そんな
「
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