第23話 瑞子ちゃんは甘いものが本当に苦手だよ。
「うん……いるよ……
チクン。
あれ? ヘンだな、なんだかムネがアツい。
ドクン。
あれ? ヘンだな、なんだか息が苦しい。
ズキン!
あれ? ムネが痛い! ズキズキする! 痛い! 苦しい!!
瑞子ちゃんは、口に手をあてた。そしてね、
「えへ♪」
と、わたしのムネを見ながら、ウイスパーボイスでカワイく笑った。
わたしは、自分のムネをみた。
え? どういうこと!?
わたしのムネに、針金みたいな灰色の細長い剣がつきささっている。
フェンシングの試合に使うような、とっても細長い剣。
そしたらね。
「チュウチュウ! やーい! おマヌケ神様がだまされた! ネズミの鬼にだまされた、おマヌケな神様はどっこかなー?」
ズリュん!
わたしのムネにつきささっていた細長い剣がひきぬかれた。
ううん、剣じゃない! しっぽだ! ネズミの鬼のしっぽだったんだ!!
え? え! どういうこと!?
「
いつ、鬼にとりつかれたの??」
「チュウチュウ! 生まれた時からずっとだよ。えへ♪」
「な……ん……で?」
「チュウチュウ! 今回の
だからね、小学校一年の時からずっと、
え? え! え! どういうこと!?
「チュウチュウ! 前世で、この国の王様だった人に取りついたんだ。
え? え! え! え! どういうこと!?
「……
「チュウチュウ! あれは本当! 十一歳になって、
ズルイよね。わたしには、頭の良さで勝てないから四人がかりでわたしのエモノを横取りにきたの。わたしをイジメにきたの。
ひどいと思わない!? ヒキョウだと思わない?
まあでも、マヌケなヒツジの鬼が足を引っぱって、あっけなくナイトにやられちゃったけど。えへへへへ♪」
「ケホッ……ゲホッ!」
わたしは咳き込んだ。あわてて手で口をおおったら、手のひらが黒くて赤い血でそまっていた。
ムネがズキズキする。そして頭がぐるぐるする。でもって頭がクラクラする。
でもね、わたしは聞きたいことがあった。どうしても聞きたいことがあった。
だからね。聞いてみた。息が苦しいけど聞いてみた。
「ヒュー……
「そうだよ! えへへへへへ♪
前世の性格を真似してみたの。カワイかったでしょう?」
「ヒュー……前世……? ヒュー……前世の記憶があるの?」
「そうだよ。えへへへへへへ♪
わたしは、本当は
そっか……良かった。わたしは頭がスッキリした。
わたしは、スッキリした頭で言った。
「ケホッ……ゲホッ!
ヒュー……良かった……ヒュー……だったら……あなたを……おはらいすれば……ケホッ……ゲホッ!
ヒュー……
ネズミの鬼は、とってもおおげさなポーズをしておどろいた。
「チュウチュウ! あれあれ? お話を聞いていなかった?
この子のお母さんが妊娠した初日に、わたしがこの子の体を乗っとったんだもん。えへ♪ えへへ♪」
わたしは、スッキリした頭で言った。
「ケホッ……ゲホッゲホッ!!
ヒュー……まっててね……ヒュー……
ネズミの鬼は、とってもおおげさなポーズでニタリニタリと笑った。
「チュウチュウ! おっもしろーい。この神様おっもしろーい。
ゼンゼン、お話が通じない。
ぜーんぶわたしのでっちあげなのに!!
おマヌケ神様おっもしろーい! えへ♪ えへへ♪ えへへへ♪」
わたしは、わざとらしい演技をしている、
「ブッ!」
って思いっきりネズミの鬼の顔にふきかけた。
「ぎゃああああ!」
ネズミの鬼は、思いっきり苦しんだ。そして真っ黒なけむりにつつまれた。
わたしは……頭が真っ白になった。すっごく体が冷えていた。そして……目の前が真っ白になって……ゆっくぅぅぅうりと倒れた。
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