第21話 瑞子ちゃんは、占いが得意だよ。
手にはキーボードのついたタブレットとお習字セット。
わたしは、
パソコンに、八つのむずかしい漢字がうかんだ。
占うのはナイトの三人。だから、これを三回くりかえす。
わたしは、そのあいだに瑞子ちゃんのお習字セットを準備して、キッチンから水をとってきてすずりに注いで、それから船の形をした墨をすった。
(瑞子ちゃんの家のテレビはすっごく大きいから、アニメは大迫力で楽しめるよ)
それから、少しおっきくなったら、マンガを読んだりゲームしたりして遊んでいた。
(瑞子ちゃんの家のテレビは本当にすっごく大きいから、ゲームは本当に大迫力でで楽しめるよ)
そして今は、占いをすることが多い。
シュッシュッシュッ。
わたしは、墨をすりつづけた。じんわりと、すずりの中の水に墨がとけて広がっていく。
その人の産まれた生年月日と時刻からわかる八つの漢字をしらべて、その漢字から連想した絵を描いて占う。
シュッシュッシュッ。
わたしは、墨をすりつづけた。じんわりと、すずりの中の水に、墨がどんどん溶けて、黒いケムリみたいにふんわりと広がっていく。
墨を使った
絵にすると漢字の意味がわかりやすくなるんだって。うーん……ちょっとよくわからない。
シュッシュッシュッ。
わたしは、墨をすりつづけた。すずりの中の水はどんどん黒くなっていく。
占いのしくみは、正直言って、わたしにはよくわからない。
でもね……
コトン。
わたしは、墨を置いた。お習字するときよりも、ほんのちょっと墨を薄くすり終えると、
「じゅんびできたよ!」
「こっちも!」
「じゃ、描くね」
瑞子ちゃんは、小さな筆にたっぷりと墨をしみこませると、迷う事なく半紙の上に絵を描いた。
真ん中におっきな太陽。そして、中国の奥地みたいなゴツゴツとした大きな岩山がふたつあって、そのあいだを川がながれている。
そしてその川に、ちょっとふつりあいなくらいピッカピカの新しい船が走っている。
瑞子ちゃんは絵を描きおえると筆をコトンと置いて、その絵を見ながらしゃべりはじめた。
「この子は、すっごく真面目。ものすごい努力家で勉強が大好き。昔ながらのモノが大好きで、でも、それと同じくらい新しいモノも好き。
昔のモノと新しいモノ、そのふたつをつなげる人……なのかな?
みんなのリーダーでぐいぐい引っ張っていくタイプだけど、ちょっと頭がカタイ。この絵に描いてある、岩山みたいにカタイ。カチンコチン。恋愛もテレ屋で奥手。でもそれはすっごく責任感があるから。大切な人を絶対に守りったいって言う優しさがあるから」
……
わたしは
「とりあえず、最初に三人の絵を描くね」
そう言うと、
結構強い雨が降る中に、たいまつを二本立てたステージ? がある。
まわりより、ちょっと高くなったステージ。
そしてそのステージのバックは、おっきな岩が「ズシン」と置かれている。
瑞子ちゃんは、筆をコトンと置くと、その絵をみながら首をかしげた。
「ねえ、
この子、本当に男の子? 女の子じゃなくて??」
「え? うん、男の子だよ」
瑞子ちゃんは、絵をみながらスッゴクおどろいた。
わたしも、スッゴクおどろいた。なんで、
「うーん、男の子にこんなこと言っていいのかわかんないけど。すっごくカワイイよ! 笑顔もかわいいし、ダンスとかも得意そう。
でもね、それは才能もあるけどそれ以上に努力……しているかんじ?
だれよりもカワイくなるために、すっごく努力している。でもそれは絶対に表に出さない。実は結構イジっぱり。あとは……うーん、調子にのって人を傷つけることがあるかも?」
「いいなぁ、この子、わたしもこんなカワイイ子になりたいよ……」
「じゃあ、最後の一人も描くね」
瑞子ちゃんは、小さな筆にたっぷりと墨をしみこませると、迷う事なく半紙の上に絵を描いた。
ギザギザの針の山の上に、太陽がギラギラと光っている。
そしてこれは、血の池? ガイコツがプカプカと浮かんでいる。
これ……地獄だ! 地獄の絵だ!
瑞子ちゃんは、筆をコトンと置くと、その絵をみながらすっごくイヤな顔をした。
「わたし、この子キライ!」
「え? どういうこと?」
「この子は、人間じゃない。人間の心を持っていない人でなし!
人のことすぐ「バカ!」って言う。自分が一番バカなのに。
かしこいネズミにだまされたバカなのに! バカなニャンコは大っ嫌い!!」
でも……当たってる。こわいくらい当たってる。
凪斗くんのご先祖は、〝
でも……わたしは外れてるって思った。
そしてじっさいにわたしを助けてくれた。
「
わたしは、ずっと
「え? あ、そ、そうだ! この三人と
そう言うと、
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