第20話 瑞子ちゃんは甘いのがニガテだよ。
「ありがとう」
わたしがお礼を言って、スティックシュガーをサラサラと入れると、
そうして、ブラックコーヒーをコクリと飲んだ。
瑞子ちゃんは、甘いものがニガテ。小学校一年生のころからずっとニガテ。
給食にプリンが出た時なんて、いつも泣きながら食べていた。
かわってるなって思う。
反対に苦いものは大好き。特にピーマンが好き。ニンジンは甘くて苦いから好きでもキライでもない。
かわってるなって思う。
かわってるなって思う
お砂糖がしっかりとけないと、コーヒーはニガくて飲めない。
わたしは、お砂糖のザラザラする感じがなくなるまでしっかりとかき混ぜると、プラスチック容器に入ったミルクをのフタを「パキリン」とはずしてそそぎ入れると、またスプーンでかきまぜた。
これでようやくコーヒーが飲める。わたしはニガイのがキライ。でもって猫舌。
あれ? なんの話するんだっけ……そっか!
わたしは、飲みごろになったあまっあまのミルクコーヒーをゴクゴクとのんで「ふー」って息をすると、
「あのね、おねがいがあるんだけど……」
「なあに?」
「えっとね……三学期も学校に行かないの?」
「行かない!」
瑞子ちゃんは「プイ」って、わたしから目をそむけた。おっきな窓の真っ青な空を見ている。
「あのね……ちょっとせつめいがムズカシイんだけど、
「それで?」
瑞子ちゃんは真っ青な空を見ている。
「だからね、その鬼をお父さんたちが退治したから、
「関係ない。わたしをイジメたんだ。絶対にゆるさない!」
瑞子ちゃんは真っ青な空を見たままだ。
「
「関係ない!!」
瑞子ちゃんは全然こっちをみてくれない。
「……今日ね、わたしが
「関係ない!! わたしは、あいつらにイジメられたんだ。絶対にゆるさない! 絶対絶対にゆるさない!! 一生ゆるさない!!」
……瑞子ちゃんは全然こっちをみてくれない……ダメか……あきらめないとダメなのかな……?
わたしは、ずっと青空をにらんでいる
あきらめよう……。
わたしは、話をかえることにした。わたしの話をすることにした。わたしの運命の人が誰なのか、瑞子ちゃんに占ってもらうことにした。
「あのね……もうひとつおねがいがあるんだけど」
「なあに?」
瑞子ちゃんは、真っ青の空を見ながら言った。
「えっとね、占って欲しい人がいるんだけど……」
「なになに?
瑞子ちゃんは、クルリとわたしの方をむいて、すっごくカワイイ笑顔で返事をした。
「あのね? 三人いるんだけど……」
「三人? スゴーイ!
……あ、ちょっと待って!!
タブレット持ってくる! あとお習字セット!!」
瑞子ちゃんは、おっきな目をキラキラさせながら、大急ぎで自分の部屋に入っていった。
占いの道具を取りに行ったんだ。
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