第17話 黒ネコはネズミを目のカタキにするよ。
「ごめんなさい!! ボク、ちょうしに乗りすぎました!」
するとね、こまち先生が大きな声で言った。こまち先生の声が、広い広い大草原にひびきわたった。
「(未神楽先生、なにショゲてますの……すの……すの……?
めっちゃおいしいじゃないですか……すか……!)」
「おいしい?」
お父さんが、驚いた顔をすると、こまち先生はつづけた。
「(昨年の
はら踊り?? 聞いてないよ。そしてめっちゃスベったんだ。どおりで帰ってきた後、元気がなかったはずだ。今よりも、もっと元気がなかった。この世の終わりみたいな顔してたもん。
「ホントにそう思う?」
お父さんは、まんざらでもないって顔をしながら、ちょっと照れながらこまち先生に聞いた。
「(はい……はい……はい!
今からしっかり練習すれば、
「本当かい!? よっし、それじゃあ早速練習しないと!
お父さんは、とってもさわやかな笑顔で、風水くんの肩を「ポンっ」てたたいた。
でもね、にじんだ涙をフリッフリのカワイイ袖でゴシゴシふくと、とびきりカワイイ笑顔でいった。
「わかった! とびきりカワイくしごいてあげる!」
わたしは思った。楽しいって、すっごくむずかしいって思った。
さっきは、すっごく楽しかった中、お父さんだけしょんぼりしていた。
でもね。こまち先生がおいしいって言ったら、みんなが元気出た。みんなが楽しくなった。
……楽しいって、すっごくむずかしい。自分が楽しくても、それで傷ついているひとがいたらダメなんだよ。それはイジメって言うんだよ。
たぶん楽しいは、みんなが楽しくないとダメなんだ。本当にすっごくむずかしい。
神様の世界の与党と野党くらいむずかしいんじゃないのかな?
そして、楽しいと神様と与党と野党で頭をぐるぐるしてたら、また忘れそうになってしまっていたことを思い出したから言った。
「そういえば、
「あ、わすれてたよ!!」
そして、耳のついた灰色のカチューシャと、カワイイ水色のポーチをとりだすと、カチューシャを頭につけて、ポーチからアイシャドウペンシルをとりだして、あおみどり色の鏡を見ながら、目元じゃなくってポッペタに、左右三本ずつのヒゲを描いた。
でもって、アイシャドウペンシルを水色のポーチにしまって鏡の中にもどすと、今度はおはらい棒をとりだした。
そしてね、
「
って、アイドルみたいにかわいくポーズをとった。でも、目はすっごくしんけんだ。こんなしんけんな
え? どういうこと??
「
そして、あのマタタビの木で出来たおはらい棒に
一歩間違えれば、さきほどのヒツジの鬼のように
え? なにそれ? ひょっとして、めちゃくちゃ大変なんじゃ……。
「パパ……ママ……そして我らがご先祖アメノウズメ様……ボクに! 力を!!」
風水くんは、力をぬいて頭をぐったりと下げた。そしておおきく深呼吸をして、いきおいよく顔をあげた。そしたらね。
「チュウチュウ! やーい! お間抜けネコがだまされた!
って、いきなりお芝居をはじめた。
「あれー? ひょっとしたら、あそこに寝ているニャンコかなぁ? にゃんこがスヤスヤ眠ってる? いじけてふて寝しちゃってる?? おっもしろーい!!」
するとね、おっきな木の上でスヤスヤ眠っている
「やっぱりそうだ! レースの日をまちがえたマヌケな黒ネコだ! やーい! おマヌケニャンコ! こっこまでおいでー♪」
「そんなところで怒ってないで、こっちにおいでよー! もっとからかってあげるから!! どうせ捕まらないけどね! あっかんべー!!」
「フギャーーーーーーーーーーーーーーー!!」
怒りがピークに達した
「ほい!」
「うにゃん♪」
「最後の仕上げだよ!!」
と言って、スタスタと
「
「
黒ネコになった凪斗くんは、たちどころに水にくるまれた。そして水は、ゆっくりと人の形になった。もとの人間の
わたしは、生まれたままの姿の
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