第15話 ヒツジの鬼は仲間外れだったんだ。
「……の処理を実行! 大至急!!」
『……六……OK! 処理を実行……五……します』
「なるほど! おもしろくなってきた!!」
「
ピクリとも動かない、ものすごく集中しているみたい。
『二……一……零!』
「メエエエエエ!!」
蛍光カラーのイルカのカウントダウンが終わると、ヒツジの鬼がものすごいスピードでとっしんしてきた。
「
『OK!』
「つらぬけ
剣は「バヒューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!」と、すっごい速度で、ものすごく遠くまでのびて、ヒツジの鬼を「ザシュ!」ってつきさした。
ヒツジの鬼からは、黒いケムリがたちこめた。
「やったか!?」
「ダメだ浅い。すんでのところで急所をかわされた」
「メエエエエエ!! メエエエエエ!!」
ヒツジの鬼は、くるったような悲鳴の様なおたけびをあげた。そして、「ドスン! ドスン!」ととびはねまくった。
からだに刺さったあおみどり色の剣をひっこぬこうともがいているみたい。
・
・
・
かわいそう。
・
・
・
あれ?
わたしヒツジの鬼のしんぱいしてる? かわいそうって思ってる? 痛そうでかわいそうって思ってる? わたしのホクロの中でいっしょに暮らしていたからかな?
「メエエエエエ!! メエエエエエ!!」
ヒツジの鬼はスッゴク苦しそうに、黒いケムリをあげながら「ドスン! ドスン!」と、のたうちまわっている。
「ぐっ!」
あおみどり色の剣をにぎっている
「
「なんだ?」
「無理だ! こいつを仕留めるには、本体を守っているもっふもふの毛をはぎとらないと!」
「そうか……」
「たのむ、アレを使わせてくれ! 封印をといてくれ!」
「わかった」
って言った。
「
「
すると、
そしてなにかが飛び出して、広い広い草原にたった一本だけ生えているおっきな木の上におりたった。
それは黒猫だった。黒猫って言うにはおっきすぎるかも……ヒョウかな? おっきな黒ヒョウ。
そして黒ヒョウの後ろには、ふわふわとカラフルな宝石が浮いていた。
白・黄色・赤色・青色・緑色・紺色・紫色、そしてピンク。全部で八色。
すっごくキレイ。でも、黒ヒョウのほうがもっとキレイだった。黒くてつややかな毛なみが、「キラリン」と光って、すっごくキレイだった。
あれが、
「メエエエエエ!! メエエエエエ!!」
ヒツジの鬼は、ずっと狂ったように苦しんでいるように、泣きながらあばれている。ヒツジの鬼があばれるたびに、あおみどり色の剣がブンブンとふりまわされる。
そして、あおみどり色の剣は、おっきな木に立っている黒ヒョウになった凪斗くんめがけて襲いかかっていった。
「ガギン!!」
黒ヒョウになった
「メエエエエエ!! メエエエエエ!!」
ヒツジの鬼は、剣をくわえた黒ヒョウの
黒ヒョウの
「メエエエエエ!!」
剣がささったヒツジの鬼は、そのまま宙に放り投げ出された。すっごい高くまで飛んで、グリンピースみたいにちっちゃくなった。
『
頭の中で、
そして、黒ヒョウになった
黒ヒョウになった
『
また、頭の中で、
炎につつまれた場所から、キラキラと赤い光が舞っている。(赤色の宝石がくだけたのかな?)
炎をまとった
ヒツジの鬼は、あっと言う間に炎につつまれた。そして、
口には、バスケットボールくらいの、毛がなくてすっぱだかで、痩せ細った真っ黒なヒツジの鬼がくわえられていた。
「メエエエェェェ……」
真っ黒なヒツジの鬼は、力なく叫ぶと、黒いケムリをあげてきえさった。
わたしは、なんとも言えない気分になった。
うっかり、わたしのホクロに入っちゃったばっかりに、友達のイヌの鬼と、ドラゴンの鬼と、ウシの鬼とはぐれて……ひとりぼっちになって、ひとりぼっちのまま死んじゃった……。
わたしは、なんとも言えない気分になった。だからね。思ったことをそのまま言った。
「ごめんね……」
ヒツジの鬼がいなくなったハズの左のムネが「チクン!」とした。
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