第12話 こまち先生が編集作業をしたよ。
「とっとと覚悟をきめてください。
こまち先生が、お父さんをピシャリとしかりつけると、お父さんはしぶしぶうなずいた。
「……わかりました」
こまち先生が、ため息をつく。
「ホンマ、手間かけさせんといてください!
それじゃ、
「了解です。
Hey! オルカ!」
「なんでしょう?
「
「OK!
現在、進捗率九十九パーセント………………………………………………………完了しました。ゲートを開きます」
そう言うと、蛍光カラーにかがやくイルカは、黒板にむかって光をはなった。
黒板は、まるでプロジェクターみたいに「ぼぅ」っと広い広い草原を映した。
広い広い草原に、おっきな木が一本だけ生えている。
「
「
こまち先生にミコ様についた鬼をひっぺがしてもらって、
「やっぱり、仮想フィールド使うんだ。それだけ強敵ってこと?」
「強敵!? 早く戦いたい!」
「たのんだ。存分にあばれてくれ」
「アレもありか?」
「ああ。アレもアリだ」
「よっしゃ!! これはマジモンの強敵だな!」
よろこびがピークの
「えぇ! アレを使うの? 後片付けするボクの身にもなってよ!」
「しょうがないだろう。ミコ様の力を得たオニだ。全力でいかないとこっちがやられる。頼む!」
「……はーい」
スネた風水くんもカワイイ♪
「では、ミコ様、僕たちはスタンバイしますので……あ、コラ!
「ひゃっほー!」
「ちょっと待ってよ!」
続いて、風水くんも飛び込んだ。
「それでは、後ほど!」
そして、
「がんばれー!」
「頼んだぞ、みんな!」
「たのんだでー! こっちはまかしとき!」
わたしと、お父さんとこまち先生は、口々に三人を応援した。
「ほな、ウチは、こっちの後片付けや! 校長先生! 二時間目はお願いします!
あ、師匠はこんなとこおったら不審者や思われるんで、教室の外で待っといてください!」
そう言うと、こまち先生は、右手の人差し指をたてて、こめかみをトンと叩いた。そして、
「
と叫びながら、今度は、人差し指をくるくる回した。
するとね、クラスのみんなが、すっくと立ち上がった。
そして今度は、
巻き戻しだ。
みんな、動画の巻き戻しみたいに動いている。
こまち先生が指をくるくるまわして、みんなを巻き戻しているんだ。
そして、こまち先生が指をくるくる回しはじめてから、みんなの頭の上に咲いていた花がかれていって、なんだか不思議な赤い実をつけている。
こまち先生が指をくるくる回し続けると、
「あとは……あ、そやった! 鏡さんと剣くんが転校してきたのに、二時間目になったらいきなり消えてまう……」
こまち先生は、こめかみを「トントン、トントン」ってとたたくと、みんなの頭に実っている果実も「ポンポン、ポンポン」ってゆれた。果実は、ほんのちょっとだけおっきくなった。
「よっしゃ! こんなもんやろ!
こまち先生は、呪文みたいな、必殺技みたいなことを叫ぶと「パチン!」と、指をならした。
するとクラスのみんなの頭に生えていた赤い実が、「パチン!」って、黒いタネを飛ばして消えさった。みんなは、何事もなかったように目をさました。
「はーい! 二時間目を始めますよ!
ちょっと
とたんに教室がざわつく。
「えー、いやだよ!」
「こまち先生がいい!」
「校長先生の話ながいんだもん」
「こまちせんせー! 寝ててもいいですか?」
すっごいブーイング!
「静かに!!」
校長先生がすっごいおこると、教室はとたんに静かになった。
「ほんなら、校長先生、あとはよろしくお願いします。さ、行きましょう、
そう言って、こまち先生はニコニコしながら、わたしの肩をそっと押した。
わたしは、教室のドアを開けて外に出ると、お父さんが、ろうかで待っていた。
「いや、いつ見ても、こまち先生の
「そんな、師匠にはかないません」
こまち先生が照れながら言うと、
「とんでもない。この術でなんどミコの
え? どういうこと?
「ホンマ、この術だけはなれました。
え? どういうこと?
「なんや、いきなり空を飛んだり、透明になったり、トイレの花子さん呼び寄せたり、ツチノコ呼び寄せたり、UFO呼び寄せたり、めっちゃ大変でしたから」
「ええ! わたし、そんなことしてたの!?」
「そう。そのたびに、にこまち先生がミコやクラスのみんなの記憶をなかったことにしてたんだ」
そ、そうなんだ……。わたしは、なんとも言えない気持ちになった。なんとも言えない気持ちになったから、思ったことをそのまま言った。
「あの、こまち先生……いままで迷惑かけてごめんなさい……」
「何言ってるんや。こまった生徒を助けるんが先生の仕事や、あと、神様を助けるんが、
こまち先生は、とびっきりのニコニコ笑顔でそう言った。
うん、やっぱりわたしは、こまち先生が大好き。こまち先生のクラスで、本当によかった。
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