第8話 続:わたし、転校生になったよ。
わたしと
五年二組だけ、ちょっとさわがしかった。
他の教室は、もう、あさの会が始まっているんだ。
こまち先生は、五年二組の教室のドアを「ガラリ」とあけた。
たちまち、教室が静かになる。
クラスメイトのみんなは、こまち先生についてきている、わたしと
「きりーつ!」
日直の
出席番号一番。勉強も一番。クラスのリーダー。そしてかなりカワイイ。右目の下にあるホクロ(「泣ぼくろ」って言うんだよ)が、チャームポイント。
「れーい」
「おはよーございます!」
いつものあいさつ。そして、こまち先生はいつもとちがうあいさつ。
「はーい。今日からこのクラスに転校してきた
あ、黒板に名前を書いてもらっていいかな?」
わたしと
だいじょうぶ。『
わたしは『
となりの
わたしたちが、名前をかいてふりむくと、こまち先生が、
「じゃ、
と言った。
「
クラスのみんなの拍手のあとに、
「
そうなんだ。
自己紹介が終わってキンチョウがほぐれたわたしは、クラスのみんなを見た。男の子と目があうと……みんな、目をそらしちゃう……なんで?
あ! そうか、風水くん……じゃない、ニコラちゃんがカワイイからだ。
でもって女の子は……みんな
大人っぽくて、ハーフのカワイイ女の子と、足が速いイケメンくんが転校したんだ。これはちょっとした事件だよね。
「じゃ、席は、
「はい♪」
ミコ風水くんが、カワイらしく手をふっている。
うん、わたし、わたしからみてもけっこうカワイイ♪
わたしも、ミコ風水くんに手をふりかえすと、日直の
やな予感がする。
・
・
・
あさの会がおわって、一時間目がおわって、休み時間になった。
わたしが、ミコ風水くんに話しかけようかなと思ったら、
「わたし、
と、言ってすっごく可愛い笑顔をした。
見たことない笑顔だった。
「あ、ありがとう」
わたしは、せいいっぱいの笑顔でいった。
「ねえねえ、ニコラちゃんってよんでもいい?」
「……う、うん」
「わたしのことは、カナってよんでね!」
「……う、うん」
「ニコラちゃんは、前の学校はどこだったの? ひょっとしてフランス!?」
「え……えっと……」
こまったな。こんなにグイグイ質問されちゃうと、わたしが変身しているのがバレちゃいそう。
「ニコラちゃんは、わたしのグループにいれてあげるね」
……それは……いやだ。
わたしは、心が「チクン」とした。
だからね。わたしは、言うことにした。勇気をだして言うことにした。
「……えっと……わたし……」
するとね、
「お前は悪いヤツだ!」
「はぁ!?」
そしてキャップを「パキリン」とあけると、ゴクゴクと飲んで、
「ブッ!」
って、
「ギャアアア!」
おっきなイヌの鬼を出した
教室はおおさわぎになった。みんなおどろいて、スッゴイおおさわぎ!
「どうしたのみんな!?」
さわぎに気がついて、こまち先生がもどってきた、そして、
「うわ、鬼がおるやん! コワッ!! え! なんで? ホンマなんで??」
教室のだれよりもおっきな声でさけんだ。もう本当にビックリしていた。
おおさわぎの教室の中、
「きた! きた! さっそく、おでましになった!
「バカ! なんて所で戦闘をはじめてるんだ!」
え? ここ二階だよ??
「Hey! オルカ!」
とさけんだ。
オルカとよばれた
『なんですか?
「作戦を説明!」
『OK! 鬼の数は合計四匹。まだ三匹は生徒の中にかくれています。
弱点は、
こまち先生は、生徒のアフターケアを』
「りょーかい!」
「りょ〜かい♪」
「了解!」
「了解や! 先生めっちゃがんばる!」
ミコ
「ニコラちゃんは鏡に入って。
ミコ
そして、わたしを照らすと、
「
なんだか呪文みたいな、必殺技みたいなことをさけんで、アイドルみたいにシャキンとキメポーズをとった。
ミコ
そしてわたしは、ニコラちゃんのすがたのままで、ふしぎなあおみどり色の場所にいた。宙にうかんだでっかいモニターが、ミコ
「凪斗、僕が、バトルステージを作る前に、なんとしても鬼に取り憑かれた生徒をさがしだしてくれ!」
「了解。二匹は、もうどこに隠れているかわかっている。だけど本当に四匹か? 三匹しかいないぞ!?」
ミコ
「え?
教室がさわがしくなる。もうみんなパニックだ。
「みんな! おちついてや! めっちゃおちついてや!」
こまち先生が一番あわてている。めっちゃあわてている。
そんななか、わたしはすごい落ちついていた。
だって、鬼に取りつかれた三人が、すぐにわかっちゃったから。
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